内容説明
空前の西行論「夕暮の諧調」をはじめ、坪野哲久論の決定版「われきらめかず」象徴主義の旗幟「短歌考幻学」、著者の最初の岡井隆論「木星を周る対話」等を網羅した限定版第一評論集の再刊発行。
目次
死せる皇子らのための呪詞(大伯皇女の手記)
紅葉非在(新古今集の復権)
夕暮の諧調(西行論)
他界の花月(「よそ」について)
重陽記(後鳥羽院考)
花を何せう(本朝春歌考)
空ぞわすれぬ(現代における詩歌の意味)
短歌考幻学
つらつら椿つらつらに(寺山修司戯曲集)
聖母咒禁(葛原妙子論あるいはロト夫人によせる尺牘)
われきらめかず(坪野哲久論あるいは傑作の悲劇について)
木星を周る推理(『眼底紀行』を中心とする岡井隆論)
魔女不在
流觴
続・流觴〔ほか〕
感想・レビュー
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ヴェネツィア
354
タイトルはボードレールから。ただし、内容は前半が主として古典評論及び評論風の創作、後半が近現代の歌人・俳人論。冒頭の大伯皇女(おおくのひめみこ)の手記の体裁をとった「死せる皇子らのための呪詞」は、いきなり圧倒される。古代王朝の政争の中の大津の皇子を悼む物語である。かくまでも痛切な古代物語があっただろうか。「夕暮の諧調」も秀逸。登漣、俊成、定家による西行論である。これが三者三様のスタイルを見せつつ、時代遅れの西行を語る。登漣の語りはまるで太宰。俊成の泰然、定家の忌避。いずれも秀逸。2020/11/04