目次
1章 今昔懐旧大道芸〈いまはむかしふるきなつかしのだいどうげい〉(百花繚乱;石立ての術;青竹割り;画竜店睛;記憶術 ほか)
2章 春宵縁日妖怪狐狸譚〈はるのよいえんにちあやしあやしのこりばなし〉(ドロ万;タグリ;スターインク消し;電池再生液;チラチラ屋 ほか)
3章 当世仮姿大道芸〈とうせいかりすがただいどうげい〉(チャモのサッサ売;ヤホンの投げ売り;演歌師;百貨売り)
終景 新郎新婦叩き売り
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kazuo Ebihara
1
失われつつある香具師の伝承芸の「口上」を残す貴重な資料となっています。 今では見ることの無い大道芸の「石立ての術」や「青竹割り」、「記憶術」「焼火箸掴み」「毒蛇使い」「大道易者」。 物売りは、「火事場に残った万年筆」「倒産した問屋の反物」などの泣き売(バイ)から、「インク消し」「電池再生液」「怪しい写真」など。 バサバイ(叩き売り)は、オモチャからバナナ、鍋セット、下駄、絵画に、 ひさしが取れた野球帽、穴の開いた長靴、王様のない将棋の駒まで売る「百貨売り」。 これじゃまるで、落語の「道具屋」だね。2024/01/07
ワタナベ読書愛
0
1989年刊行。前作:1986年刊行し、好評。今では見られなくなった昭和の高市(たかまち)で声を張り上げて商売をした香具師たちの、いろんな口上。お寺の境内に溢れかえる見物人や買い物客と、生活がかかった商売なのにどこか不届き不埒なユーモアがある香具師たち。今よりもぐっと人との距離が近かった上、表現の規制もゆるかった。テレビなどもまだ普及しておらず、娯楽が少ないために、たまの祭りに全力投球して楽しんだ様子が伝わって来る。映画「男はつらいよ」の初期の作品そのままの名調子。読めば読むほど、明るく儲かった気分になる2025/05/18