内容説明
戦後実存主義文学の旗手、椎名麟三とアルベエル・カミュ。二人はキリスト教と深く関わりながら、人間として生きる意味と自由を根源的に追求し、社会的不条理とも対決した。その二人の歩みは今もなお現代に生きる我々に深く訴えてくる。二人の歩みを作品に即して検討し、両者の類似点と異質点を明らかにした画期的な文芸評論。
目次
1 今なぜ、椎名とカミュなのか
2 椎名とカミュの道程とその異質点
3 思想上の位相(戦後実存主義文学について―サルトルとカミュと椎名との関連を中心に;椎名とカミュのドストエフスキーとの関わり―『悪霊』を中心に;椎名とカミュのコミュニズムとの関係)
4 椎名とカミュの作品をめぐって(『私の聖書物語』について;『自由の彼方で』について;『ペスト』をめぐる問題点;『転落』に見るカミュのイエス観;『追放と王国』について)