内容説明
宗教教団はその生成過程において、自らの過去を再解釈し読み替えていく。天理教もその例外ではない。開祖・中山みきの教えを超えて、教団、信仰者、そして外部の作家や研究者によって、新しい伝説や神話が生成されていくプロセスを、豊富な資料を検証しながら解明し、宗教とは何かを問う意欲作。
目次
序章 宗教の発生
第1章 啓示
第2章 呪術の園
第3章 神の正体
第4章 御苦労
第5章 神の死と再生
終章 創造された一神教
著者等紹介
島田裕巳[シマダヒロミ]
宗教学者、文筆家。1953年東京生まれ。1976年東京大学文学部宗教学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1984年同博士課程修了(宗教学専攻)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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(k・o・n)b
5
最古の新宗教とでも呼べそうな位置にある宗教・天理教。その歴史について、教団自身の語りに事実でない部分があるのは勿論、天理教の場合は過去の学者の言説も反権力性を過大視する等、偏向を含んでいた。本書は、残された資料の批判を通じて、できる限り客観的に天理教の歴史を記述し、宗教の発生過程を明らかにすることを目的とする。天理教の公式見解では、天保年間に中山みきという女性が「神のやしろ」として貰い受けられた出来事を立教のきっかけとしているが、実際には、みきが拝み屋的な活動を始めたのは「神がかり」の十数年後で、→2024/09/15
ダダダダダッ
2
幕末三大宗教の一つである天理教。高校の日本史では、金光教、黒住教、天理教と名前だけは触れるが、内容については一切触れることがなかった。その中でも、現在最も規模の大きい天理教について詳しく分析し、客観的に見解を述べている良書。2014/02/01
Kyo
2
天理教とはなんぞや?という疑問には応えてくれなかったけど、宗教が生じて形を成していく過程は面白く…あ、序章が一番面白かったかも。ますますもって宗教(特定に限らず宗教それ自体に)というものに興味がでてきた2011/12/29
NICK
2
天理教をモデルとして宗教の発生過程を検証した論考。天理教では教祖・中山みきを慈母的な存在として信仰しているが、その実、子の出産が遅れたことからの精神的圧迫などの要因により気が触れてしまった人物なのではないか、と様々な文献から実体に迫っている。明治期に中山みきは幾度も警察に連行されたが、それは国家神道に反するためでなく、単に呪術・まじないで人を集めていたからに過ぎないというのも目から鱗。天理教についての本としても面白いが宗教一般の発生のモデルとして見ると様々な宗教の神秘性に疑問を投げかけたくなるかもしれない2011/12/05
あああああ
2
宗教の発生が実例を通して描かれていて面白い。この著者の著作の中では丁寧につくられていて、さすが宗教学者と思わせるものである。2010/12/26




