感想・レビュー
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みづはし
2
ネパール随一とも表される歴史大河小説。19世紀末から20世紀中盤までネパールを支配してきたラナ家が政権を奪取するまでのお話。作者自身もラナ家の一因であり、同族でありながらもラナ家の専制体制を痛烈に批判している。民主的に君主を決めない政治体制では、流血劇を繰り返してしまう、その事を伝えたいと言う思いが悲痛に伝わってくる一作。序盤の恋愛劇は多少脚色されているものの、基本的には事実に沿った話であるようだ。マハーバーラタ等の叙事詩の引用も多く、ネパールのヒンドゥー文化、習俗に関する記述が物語を立体的に彩っている。2017/07/05