内容説明
3.11。すべてを奪われた女川町。避難所の人々を癒した音色。自閉症の少年はなぜ、ピアノを弾いたのか?災害と障害、家族と地域の絆を描いた感動のドキュメント。
目次
第1章 あの日、3月11日のこと(港そばの水産加工工場で;津波警報;女川の町が消えた ほか)
第2章 雅生のこと、二人の弟のこと(おじゃる丸のような赤ちゃん、まさき;まさき、お兄ちゃんになる;自閉症と診断されて…普通じゃないってどういうの? ほか)
第3章 ピアノが教えてくれた「ありがとう」(すべてが変わってしまった朝;ぼく、ピアノ弾けます!)
解説「自閉症とは?」(カニングハム久子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
milk tea
28
手探りから始まった子育てをみんなで頑張ってきた姿には涙が出ます。震災後、安代さんの体調が思わしくないとありました。もう一度三人のお子さんを抱きしめてあげて欲しいと願っていましたが、この読書メーターで残念なことにお亡くなりになったことを知りました。2018/08/12
ぐうぐう
11
私達がTVや新聞で美談として知らされるエピソードは、感動的な部分だけが切り取られたケースであることが多い。当然のことながら、美談に至るまでの苦しい過程が当事者にはある。美談という結果から振り返るその苦しさと、まだ結果が見えない、ひょっとしたら訪れないかもしれないという渦中にいる当事者の苦しみとでは、まるでその切実さが違ってくることだろう。感動的な物語として(つまりは安心して)消費できてしまう私達と、先の読めないドキュメントの中で生きている当事者といったふうに。(つづく)2012/03/15
玲
8
語り出したら語り尽くせないほどのことを、ここまでコンパクトにするのは並大抵のことではなかったろう。しかしコンパクトにしたことで自閉症という障害の複雑さが取り除かれ、家族が見ているものが浮き出てくる。ピアノがおばあさんの気持ちを溶かしてくれたことが嬉しかった。2012/03/16
さんつきくん
7
東日本大震災で壊滅的な被害が出た宮城県女川町の避難所で起きた小さな奇跡。著者は自閉症の息子「雅生」の母 橋本安代さん。本を読むと母としての優しさや子育て苦悩に溢れている。自閉症特有の感情を上手くコントロールできなく、自傷行為に走ることもあった雅生くん。ピアノと言う、それまでの感情をぶつける魔法の楽器を手に入れる。そんな中、起きた東日本大震災。住む家は流され避難所暮らし。そして奇跡は起きた。2013/06/05
るぅ
5
自閉症の子が避難所で過ごすことも、それを支えるご家族も本当に大変なことだと思う。あの震災の時は全国の自閉症協会が彼らの手助けをしようと動いたし、災害時の避難の手順や教育、避難所での生活について見直すきっかけになった。しずかなボードちゃんもそのひとつ。お母様の安代さんのその後が気がかりだったのですが亡くなられたんですね。。。2018/02/04