内容説明
まさか、あんな所で二百人が遭難とは。青森隊が目指した田代温泉は屯営から一番近い八甲田山麓の保養地であった。無雪期には行軍の「前例」が多く、「隔絶された一軒の山の湯」でもない。地元民は冬でも往来しており、冒険でも探検でもなかった。そんな近さ、手軽さが仇となった。
目次
第1章 青森第五連隊の雪中行軍(課題を与えたか;遭遇計画はあったのか ほか)
第2章 捜索・救援(「二個の問題」;遭難者発見 ほか)
第3章 弘前第三一連隊の雪中行軍(士官候補生のための教育訓練(一月二〇日)
「宿舎優待せり」(一月二一日) ほか)
第4章 新田八甲田を読み返す(火事のプロット;自然との共生 ほか)
第5章 雪中行軍はなぜ失敗したか(「五聯隊の責任」;友安旅団長という人 ほか)
著者等紹介
川口泰英[カワグチヤスヒデ]
昭和33年(1958)、弘前市生まれ。団体職員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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100名山
5
八甲田山雪中行軍関連の本を小笠原孤酒、陸軍に矛先を向ける松本明知と読み進め今回は新田次郎に矛先を向けています。私も新田次郎は素材を貶める小説家と思います。そして戦後戦前戦中の考え方や帝国陸軍を批判して良識ぶる文化人に嫌気がさす川口氏の感覚は馴染めます。当時正しいと思われていた思想を理解せずして、本当の歴史の反省は出来なと思います。話を戻して雪中行軍関連をここまで読み、結局のところ気象遭難の最中に於ける指揮官の判断ミスが119名の死をもたらし、弘前隊では7名の民間嚮導者の犠牲の上に成り立っていたのですね。 2020/09/24
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