内容説明
1945年5月11日、沖縄―。米軍の旗艦バンカーヒルを戦闘不能に陥れた2機の零戦による壮絶なる特攻。その全貌を“日米”当事者への取材で描く迫真のドキュメンタリー。
目次
第1部 浮上蜃気楼(真珠湾への道;小川清;一九四二年;USSバンカーヒル;艦内のシステム;徴兵;玉砕;神風特別攻撃隊;バンカーヒル出港;敵地へ;東京空襲;人種問題;学徒兵;ウルシー特攻;戦艦大和;鹿屋;死闘;桜花;志願者;一九四五年の絶望;バウスロイ)
第2部 死神との約束(安則盛三;敵空母見ユ;火炎;黒鉛;激流;救いの手;死の誘惑;救出;熱傷;漂流;遺体)
第3部 戦いのあと(ダメージ;水葬;すべてへの別れ;勇者の帰還;故郷への船路;桜散る)
著者等紹介
ケネディ,マクスウェル・テイラー[ケネディ,マクスウェルテイラー][Kennedy,Maxwell Taylor]
1965年、ニューヨーク生まれ。ロバート・F・ケネディ元司法長官の息子であり、ジョン・F・ケネディ元大統領の甥にあたる。ハーバード大学、バージニア大学法科大学院を卒業後、ボストンカレッジで環境学を教え、フィラデルフィアでは3年間、検察官を務めた。現在はブラウン大学ジョン・カーター・ブラウン図書館の研究員として、海洋史の研究に打ち込んでいる
中村有以[ナカムラユイ]
神奈川県生まれ。国際基督教大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
32
任務の完遂が自分の死となる特攻。これはわが国固有のものではく、西洋的価値観にも圧倒的優位を誇る敵と直面した時の勇気、決意、自己犠牲、道徳的権威を讃える「橋の上のホラティウス」という詩がある。無謀な作戦でも、意志の力に勝るものはない。この普遍的な価値は我われを過去の時間に結びつけ遠い昔の人々の生活を現実のように思わせてくれる。彼らは押し付けられた残酷な運命にも関わらず勇気を持ち続けた。先の大戦の教訓は圧倒的な物量の差があろうとも大義に身を捧げる意志を持つ決然としたものが少数いることの力を我々に見せつけた。2015/03/07
スー
9
初めてアメリカ側から見た特攻隊の本を読みました。隊員達を洗脳された若者ではなく、生きたいと願っている普通の若者と書かれていて安心しました。後半の日米の戦力差は愕然とするほどで大和が撃沈された時にアメリカの受けた損害が飛行機十機だったなんて‼勝ち目なし。日本がアメリカの爆撃に対処できずに一方的にやられ続けるのは読んでいて辛く悔しかった。やはり一番興味があったのはバンカーヒルの頑丈さです。四百人の死者が出る程の被害で自動消化装置も故障したのに沈まなかったのは驚きでした。特攻隊で亡くなった人達の御冥福を祈ります2016/08/21
yooou
7
☆☆☆☆★ 600頁と云う長編ですが、ぐいぐいと読ませる。全編緊張感に満ちた一冊でした。2010/12/25
臓物ちゃん
6
神風特攻隊vs米軍最強の空母、という日米の象徴が激突したその瞬間を、両側の視点から中立に経緯を追いながら記した迫真のドキュメント。最初は餓島で日本軍がひでぇ目にあってた頃にハンバーガー食ってた米兵達に「おのれ鬼畜め〜」と思ったけど、後半の特攻によって生じた火災に次々と斃れながらも各自が必死に救命活動を続ける米兵達に「がんばってくれ!」と思ってしまうのは俺が平和な時代に生まれたからだろうか。普通の特攻もののように日本の自己完結で終わらない、敵も戦争に巻き込まれた普通の人間なのだと教えてくれる一冊。読むべし。2015/04/10
プチライス
6
「あの日、バンカーヒルの上で、日本とアメリカの文化が衝突した」2機の特攻機が空母バンカーヒルに突入した日。特攻隊員として、アメリカ海軍の水兵として「異常な状況のただ中へと放り込まれながらも、驚くほどの勇敢さを見せた普通の男たち--肉体労働者、工員、大学生--の物語」に心震える。「現在の状況は、上層部の無能力と愚行の結果だと思う。今の上層部は、若者たちの熱心な献身に頼り切っているようだ。(略)我々は身代わりだ。だが不平を言ってもどうしようもない。我々は、課された命令に従うしかない」狂気の微塵も感じられない。2014/02/22




