内容説明
玉砕の島・硫黄島で、ひとりの日本人兵士が捕虜となった。アメリカ各地の収容所を転々とするなか、39歳の彼は何を見たのか。亡き父が残した詳細な手記や、ひそかに持ち帰った新聞記事、家族だけに語った貴重なエピソードなどをもとに、知られざる「硫黄島のあと」が、いま明かされる―。
目次
第1章 さらば硫黄島
第2章 パールハーバー上陸
第3章 アメリカ本土
第4章 大陸横断
第5章 日本降伏
第6章 帰還
第7章 アメリカ再訪
著者等紹介
マスヤマ,K.マイク[マスヤマ,K.マイク][Masuyama,K.Mike]
1942年(昭和17年)生まれ。北海道大学卒業後、米国コーネル大学院にて博士号を取得。クロスカルチャービジネスコンサルタント会社代表。米国カリフォルニア州在住。米国籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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荒野の狼
6
硫黄島で捕虜になり、アメリカ本土に抑留された日本兵が、戦後まもなく帰国し、約10年後に再びアメリカを訪れるまでを描いた実話。元日本兵の息子であり現在米国籍の著者が、父の残した資料と家族の証言をもとに、日本人捕虜の足跡を父親が語るというスタイルで丹念にたどっています。アメリカおよび日本で調査された公文書・新聞記事などで裏づけがとられており、アメリカ本土での日本人捕虜の待遇などを知る上で、歴史的にも価値のあるものとなっています。2008/08/22
ちゃこてい
6
TVを見ていたら、8月15日は何の日か?と問われた若者が、うなぎを食べる日?と答えていた。戦後70年。私も戦争を知らない年代であるが、毎年8月になると、戦争に関する書を読みたく?読まねばと思うのです。2015/08/16
田中峰和
4
驚くべきは戦前の徴兵制度の杜撰さ。終戦一年前に5歳違いの弟と間違われて招聘された父は、38歳で妻と3人の子供を残して招集された。しかも、2万人を超える将兵のうち、96%が戦死か行方不明になった硫黄島に配属されたのだ。当時としては、一桁しかいない大卒の父は土木技師として働くインテリ。小中学校卒レベルの将兵ばかりの捕虜の中ではその英語力が役に立った。捕虜なのに報酬まで得られる国、日本の無残な兵役に比べ天国のようなアメリカ。日本とは違うアメリカを子供に見せたいとの思いから、息子は米国籍を得、この本が生まれた。2016/04/06
りんふぁ
4
硫黄島で生き残った方がいたのですね。手記です。捕虜となっても、好奇心、向上心を失わず、英語を学んだり、アメリカへの関心を失わない心に敬服しました。2015/10/20
Isamash
1
硫黄島で病死寸前の米軍捕虜となった北大卒インテリ兵士の捕虜体験記。米軍に捕まったら最後いたぶり殺されると思っていたが医療及び食事が提供されて驚愕といった一般市民の感性がしっかりと述べられ興味深かった。捕虜の中で元上官が一般兵士に暴力を振う様、好奇心大の米軍兵士との交流、捕虜独兵との親睦と伊兵との隔絶等、国民性も垣間見え面白い。何より英語力と知力と職業経験で、情報収集も怠らず、捕虜としてより良い待遇を得ていく様がドラマチック。日本の無条件降伏を知りショックを感じ、うちひしがれたエピソードには驚かされた。2020/12/21
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