出版社内容情報
本書は、沖底(2そうびき)の産業としての存在形態並びに存続条件に関して、漁業構造論及び沖合漁業論の立場から解明しようとするものである。
沖底(2そうびき)は、終戦直後には多くの県で大・小型の漁船が存在していたが、近年になる75トン・125トン比較的大型船が島根県、山口県、愛媛県、岩手県の4県を主要地域として存在している。
このため本研究ではこれら主要地域すべてに亘り、漁業経営、産地市場形成、経営史、並びに業界動向等に関する実態調査を実施した。また主題へのアプローチは従来の調査研究史や沖合漁業研究の成果を踏まえ総合的な検討を行っている。
序章 研究の分析視点・課題・方法
第1節 問題意識と課題 第2節 研究史との関連 第3節 構成と研究方法
第1章 沖底(2そうびき)の位置と漁業発展の特性
第1節 沖底(2そうびき)の漁法とその要件
1.沖底の類別
2.2そうびきの分布と地域特性
3.漁具(1)2そうびきの漁具・漁法及び装備(2)そうびきの漁場利用特性(3)漁法上の操業比較(4)漁 法上の経営状況比較
4.経営組織特性の概要
第2節 2そうびきの系譜と機船底びき網政策の変遷
1.2そうびきの出自
2.戦前の機船底びき網抑制方策の実態並びに「以西」と「以東」の形成
3.復興期から転換期に至る状況
4.漁船のトン数規制
第3節 2そうびき漁労体数の動向
1.戦後の2そうびき漁労体数の推移
2.2そうびきの消滅と生成
第2章 経営の地勢的条件とその変化
第1節 島根県
第2節 山口県
第3節 愛媛県
第4節 岩手県 1、漁獲の動向 2.市場性 3.2そうびき漁労体の出現と操業の特性
第3章 漁獲の長期的観察と経営的諸元の変化
第1節 漁獲の長期的観察 第2節主要魚種の需給動向
第2節 漁船と漁労技術の変革 第4節 労働力需給と賃金支払方式
第4章 経営体の変遷と経営構造の展開
第1節 概観
第2節 経営構造の県別動向
第5章 総括
補論 主要産地における戦後漁業の展開