感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hasegawa noboru
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「Bon voyage(良き旅を)」良き旅とはたとえそれがゆきずりの人であっても良き人に出会う旅。どういう場所か知らぬままインヴァネスよりさらなる北の端の岬の街を目指す「ジョン・オグローツまでーースコットランド」の旅ではその「人」が牛や馬や羊や海豹たちであったりする。御年九十になられる地味な作家の〈私が理想として心がけてきた小説でもエッセイでもなくその境界線上にあるような「散文」〉を集めた自選集全三巻の三巻目。 2020/09/25
仕方がある
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フランスとスコットランドについての散文。流れるように綴る散文のリズムが心地よい。パリの安食堂についてのことや、シャルル=ルイ・フィリップをめぐる思い出の断片、行き当たりばったりの偶然性が面白いスコットランド紀行文など、読んでいて美味しい文章ばかりでとても満足。木山捷平や堀江敏幸のような、心落ち着く文体が大変気に入った。2024/12/29