感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はづき
12
胸の泉に が好き。 関わらなければ、路傍の石、胸の泉に木の葉一枚落ちないと、ハンセン病詩人が詠んだ痛み。2016/05/18
きゅー
11
塔和子の詩を味わうには、彼女の境遇を忘れることは出来ない。塔和子は13歳の時にハンセン病を発病し、国立療養所に入所した。以後、83歳で死ぬまで同療養所で一生を過ごした。本書のなかで最も遣る瀬無かったのは以下の詩だ。 「あるとき その家族は 三叉路を右へ曲がったが その家族の中で ひとりだけ 左へまがらなければならない子供があった その子供は 左へ左へ まがっている道を どんどん歩いて 家族と 遠く遠くはなれてしまった 母の涙 父の悲痛な顔を まぶたの中に 見つづけながら」2018/10/16
メイロング
3
レトリックがあまり感じられない、無加工、ナマな言葉。だから声に出して読むと、すごく体のそばで響く。初めて詩に触れる人なんかぐっとくると思うけど、名詩集や教科書でハンセン病詩人のレッテルなしで塔和子はあまり入ってこなさそう。だから余計に出会ったときの衝撃は大きい。「胸の泉に」やっぱりいいですね。2020/07/14