感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
2
「弱いことに自信があった」著者は栄養不良で徴兵を免れ、26歳で天涯孤独、29歳結婚、その後腎臓病など一生病気と生活苦に寄り添いつつ職を転々としながら84歳まで生きた。苦労三昧で湿っぽく陰気な人生は一白水星らしいが、妙に捻くれたり毒を吐いたりすることがない随筆なので意外と楽しく読めた。日常のささいなことを丁寧に切り取ったような。治安維持法違反で検挙されるなどのあたりの話はなかったが、戦争中、もう焼けてしまうだけの家財は売ってしまおうと古道具屋へ行く話が冒頭。家財を手放した10日後に戦争は終わった。2016/04/29
koala-n
1
知る人ぞ知る(?)京都の詩人、天野忠の随筆セレクション。書かれた文章の時間的な幅は広いが、不思議とトーンが同じで、どの文章を読んでもすっと入っていける。生来病弱で、その上若くして天涯孤独の身となった人だが、変な悲壮感とかそういったものがなくて、淡々とした生活者の、地に足の着いた物の見方が、なんとも心地よい。老境に入ってからの文章が多く、よって枯れた味わいの文章が多いが、かといって枯れすぎてもおらず、不思議なみずみずしさをたたえてもいる。味わい深い、というしかない本。2013/08/01
utataneneko
1
何でもない、「日常茶飯事ばかり」をつづった随筆を、たっぷり堪能した。年を重ねていくにつれ至った境地のようなものも感じられ、味わい深かった。2009/01/25