内容説明
本書は、ただ物集女城を知ってもらうだけではなく、より深く理解してもらうために、物集女氏の歴史や物集女城とその周辺の景観についてだけでなく、戦国社会、とりわけ乙訓・西岡のなかで城と館はどのような存在であったのかを解明する概説を設けました。さらに乙訓・西岡に現存する中世城館跡のガイドを設けました。また城郭用語は分かりにくい、というご意見に応えるため用語解説のコラムも準備しました。
目次
1 戦国時代の乙訓・西岡の風景(戦国社会と土豪居館;乙訓・西岡の城館と集落;物集女城とその周辺―考古学からみた村と城;城主物集女氏の実像を探る;戦国日本のなかの乙訓・西岡)
2 乙訓・西岡の城跡ガイド(嵐山城;革嶋城;峰ヶ堂城;上羽城 ほか)
著者等紹介
中井均[ナカイヒトシ]
1955年大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科卒業。京都府向日市教育委員会、(財)滋賀県文化協会を経て、米原市教育委員会事務局文化スポーツ振興課長
仁木宏[ニキヒロシ]
1962年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科修了。京都大学文学部助手、園田学園女子大学国際文化学部講師などを経て、大阪市立大学大学院文学研究科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chang_ume
5
「中世城館」から中近世移行期の畿内を考える。乙訓郡から葛野郡にまたがる京都西郊「西岡(にしのおか)」地域を事例に。中世後期に用水管理を紐帯とした地域形成が進行、同時に荘園管理の「政所屋敷」(方形館)が城館化する。西岡では比較的フラットな共同体を「国人一揆」が実現したようですが、そこにクサビを打ち込むように「勝龍寺城」が中央政権(三好政権、織田政権)によって建設されていく。たとえば城館の水堀について農業用水の水源として活用されたかどうかなど、本書論者によって微妙に解釈が対立する様子も好ましいです。良書。2019/07/06