内容説明
ナチスとは何か―宣伝から探る、その本質。世論は「つくりあげる」ものである―巧妙な大衆操作により、少年たちに銃をとらせた「宣伝的人間」ヒットラーの正体。
目次
民衆の孤独を撃つ―アドルフ・ヒットラー『わが闘争』
ヒットラーの柔らかい髪―わが身を典型化し、宣伝に供する
ヒットラーの妖眼―青い目の伝説とその宣伝
ヒットラー青少年団
平和の倦怠―「ハイル・ヒットラー」と女性の涙
アドルフおじさん―「子供の好きなヒットラー」のイメージ宣伝
対談 陳列効果と象徴
附録1 ヒットラーとレーニンの煽動術
附録2 ムッソリーニのスキンシップ
跋章 知識と官能の無力
著者等紹介
草森紳一[クサモリシンイチ]
1938年、北海道生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒。編集者を経て文筆家に。1973年、『江戸のデザイン』(駸々堂出版)で毎日出版文化賞受賞。ライフワークである李賀、副島種臣から、デザイン、絵画、写真、広告、建築、マンガまで、さまざまな分野を跨ぎ、先駆的な著作を著した。2008年3月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
46
ナチス宣伝の研究第二巻。前巻のゲッベルスがその日記を読み解いていたのに対して、本巻では『我が闘争』の解読は一部だけで、主にヒトラーの外見やヒトラーユーゲントや子供、女性といった宣伝の対象が中心となっている。その為主題がヒトラーというより、ナチス、ファシズム自体であるように思える。ユーゲントの活動、子供の利用や女性の熱狂等、いずれも興味を惹かれない箇所は無かったが、一番印象に残ったのはレーニン、ムッソリーニといった他の独裁者との対比。結局は知識人と大衆の二元論に収斂される気がしないでもないけれども。2016/01/10
ののまる
11
ヒットラー・ユーゲントが不憫極まりない。2019/12/23
傘緑
9
「ゲーリングは、なぜ帽子を取ってしまったのであろう…うかつである…心なしか、ヒットラーの表情は、けわしい…」前作の『ゲッベルス』に引き続いて本書は草森紳一の読書録の体裁をとっている。世界で最も人気な悪書『我が闘争』を軸にプロパガンダ研究は進められるが…本当に変な話だが、こと宣伝哲学においては『ゲッベルス』の二番煎じという印象が強い。ただその分、ヒトラーの「柔らかい髪」「青い目伝説」「青少年団」などのヒトラー現象・効果・伝説への考察、あるいはレーニンやムッソリーニとの比較研究などに、余りある読み応えを覚えた2016/10/07
PukaPuka
5
ヒトラーはなかなかの心理学者だ。「信念は知識よりも一層動揺させることがむつかしく、愛情は尊敬よりも変化をこうむること少なく、怨念は嫌悪よりも永続的である。この地上でもっとも巨大な革命の原動力は、どんな時代でも、大衆を支配している認識にあるというよりは、むしろかれらを鼓舞している熱狂、また往々かれらを駆り立てたヒステリーの中にあった」と言っている。電通の自民党担当者は「わが闘争」を読んでるのでは、と思ってしまう。それから、今まで一度も考えたことがなかったが、鉤十字は男女の絡みを暗示する、性能力の刺激という。2016/02/06
ナン
1
本文中に「ナチス第三帝国の成立は、女性と少年を狙い撃ちしたところにある」とあり、ヒトラーユーゲント、ナチス政権下の女性を描いた章が面白い。掲載されている写真やその解説も的確で、ヒトラーユーゲントの純粋な(空洞化されたとも言える)目や敵国の戦車に手を振る女性の写真は印象的。 それともう一つ、ムッソリーニとヒトラーの宣伝の比較、ムッソリーニがドイツを訪問して大いに焦った話も面白かった。
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