内容説明
匍匐、早駆け、射撃訓練、そして咽をしめつける渇き―新人自衛隊員たちの日常と肉体の煌きを描画し、芥川賞を受賞した「草のつるぎ」など真率な視線で描かれた作品群。初単行本化作品・連作小説『水辺の町』全篇収録。
著者等紹介
野呂邦暢[ノロクニノブ]
1937年、9月20日、長崎市岩川町に生まれる。1945年、諌早市にある母の実家に疎開。8月9日、原爆が長崎市に投下され、原爆の閃光を諌早から目撃する。長崎県立諌早高等学校を卒業後、様々な職を経て、19歳で自衛隊に入隊。翌年の除隊後、諌早に帰郷し、散文や詩をしたためる。1965年、「或る男の故郷」が第二十一回文學界新人賞佳作に入選。芥川賞候補作に「壁の絵」「白桃」「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」が挙がったのち、1974年、自衛隊体験を描いた「草のつるぎ」で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shizuka
1
きれいな文体で満たされる反面、読後、心がざわつく、どうしようもなくもやもやする、不安になる。2019/01/06
Voodoo Kami
1
野呂さんも向田さんと同じく、記憶の人だったのだろう。どうして自衛隊に入ったのか。自分を「無色透明に」するためには、自分を「使い尽くす」必要があったからだと書く。だが本当にそれだけだったか。自分の故郷を灰燼にした戦争の担い手である兵士という存在に、抗う気持ちとは(あるいは)裏腹な感情もどこかに抱きつつ1年を過ごしたのではないか。その後の、名もなき兵士たちの戦記物への執着ぶりを知っているだけに、「草のつるぎ」「砦の冬」「一滴の夏」を読んでみて、そんな感想を持ちました。堀江敏幸さんの解説がとても興味深かった。2015/06/11
7kichi
0
初単行本化作品の「水辺の町」を読むために購入。「草のつるぎ」から全部読み返したが、素晴らしい。2014/04/19