内容説明
「アカデミズムとジャーナリズムは、近代が生み落とした不仲のきょうだいのようなもの。たがいの作法や思考の筋道を信用できないでいる」と言われます。この「不仲な二つの作法」を融合して、前例を超え、前例を創る道をさぐろうと、この本では、九人のジャーナリストが四つの方法で「精神病院・認知症の闇」に迫りました。
目次
はじめに 虫の目・鳥の目、歴史の目、そして
第1部 精神病院・認知症の「闇」に斬り込む(「本人以外は幸せ」というシステム;経営が一番、患者の人生は二番)
第2部 精神病院のある国、ない国(“鼎談”原発事故があって助かった~時男さん六十歳の青春;トリエステ精神保健改革から学ぶこと)
あとがき 想像力と度胸に裏打ちされてこそ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
60
かなりショッキングな内容もあった。 人権について考えさせられた。 大きな改革をするには、医師と政治家、ジャーナリストの三本柱が必要。 逆に考えると今の日本は利権にぶら下がる医師、政治家(行政)、偏った報道によって権利が侵害されている現状があるのかな。2025/03/27
kitten
9
図書館本。認知症が気になって借りたけど、メインは精神病院の方だった。これは、怖い話。欧米が精神病床を削減しているなか、日本だけが増やしている。治療らしい治療はなく、いわゆる社会的入院。閉じ込めておくだけ。当事者の伊藤さんの話が怖かった。40年入院していたけど、本当に治療が必要だったのは数週間程度だろう、と。見たくないものに蓋をする感覚なんだろうなぁ。世間からの偏見もひどいし、悲惨な事件もあった。みんな、自分とは関係ないと思いたいから改善しようという話も出てこない。問題意識だけはもっておきたい。2024/11/03
Mint214
4
精神病院に40年間も入院していた男性の鼎談にはショックを受けた。入院が長くなると施設症という症状が現れる。思考停止状態、無気力。人としての尊厳もうばわれ、もののような扱いに置かれていく。そして一生退院できない。これほどの人権侵害が野放しされている日本。身体拘束禁止も精神科はないという。ノーマライゼーションの生みの親、バンクミケルセンの言葉「自分自身がそのような状態におかれたとき、どう感じ、何をしたいか」という視座は持ち続けなければならない。2024/10/01
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