内容説明
なぜ「寝たきり」がいないの?その謎をさぐる旅はお年寄りのことから障害をもった人々のことへ、そして政治や文化民主主義の問題へとひろがっていった。あたたかく、シャープな女性ジャーナリストの眼がとらえた「真の豊かさ」とは。
目次
第1章 「寝たきり老人」がいない!(おむつをしていてもお洒落ができる;ホームヘルパーが朝昼晩、現われる!;アマチュアとプロの違うところは… ほか)
第2章 ノーマリセーリングの波(「ふつうに」という思想;まず、知的ハンディの世界で―スウェーデンで;教育の世界にも―フィンランドで;精神医療の世界でも―イタリアで;人生の最期に―イギリスで;保護でも慈善でもなく―アメリカで ほか)
第3章 真の豊かさを実現するために(日本のすごい女たち・男たち;権限は市民のそばに;税金は「預けるもの」?「取られるもの」?;灯台もとくらし ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
30
図書館本。北欧には「寝たきり老人」という言葉がない。「寝たきり老人」は北欧にはほとんどいないからだ。その実態と理由が本書で明かされている。例えばOECD加盟国のホームヘルパーの数(人口10万人当たり)はノルウェイで998人、デンマークで471人もいる(日本は19,4人)。しかもヘルパーの待遇は正社員もパートも変わらない。そして、利用者の尊厳を第一に考える教育を受けている。寝かせっきりにしてまずい食事を与え、ろくに外にも連れ出さない日本の老人ホームとはまるで違うのだ。日本は福祉大国だとはお世辞にも言えない。2017/02/23
okatake
3
1990年初版。今でも、北欧の状況には追いついていない日本の福祉。超高齢化社会となり、世界の最先進国になっているが、高齢者対策・認知症対策を含め、後手後手に廻っていて、先を見込んだ政策にはなり得ていないのが現状。日本の社会性や今までの歩みもあるが、目先ばかりに惑わされているように思える。高齢者を尊重できる、他者の尊厳を慮ることができるか否か、障害者の深層を量ることができるかどうか、とても大切なことだと思う。国政として、人の尊厳を重視することが出来ていないのが日本なのではないか?現代でも頷けるのが情けない。2014/07/15
ウルまー
1
この本が書かれた状況から一ミリも進化してないのを見るに日本人はバカなんだと思う。2016/08/31
ぺとろん
1
思いやりのある福祉というか、ハンディキャップをハンディとさせない福祉のあり方を教えられます。 福祉国家と日本では福祉について根本的な考え方そのものが違いますね・・・。 福祉先進国はキリスト教国であり、キリスト教的な考え方で福祉に取り組んでいることもおそらく背景にあるのではないだろうかと考えざるを得ませんでした。2012/08/19
奈良坂葵
1
日本ではどうしてこのような介護体制が取れないのか、考えさせられます。介護保険が整っても、毎日ベッドから起こし、着替えさせ、座らせることすらできていない日本ですね。現在の北欧が同じような環境にあるのかも興味があります。2011/04/12