感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
106
ウィーズナーの文字のない絵本ばかり読んでいると、こうやってちゃんと文字がある絵本を読むと違和感を感じてしまいますね。なんというかウィーズナーの絵に言葉が混じると、途端に笑える感じになるんですよね。たとえ、ガーゴイルたちが恐ろしい形相をしていても、この世とは思えない光景が繰り広げられていても、置かれている言葉、文章によって怖いではなく、面白い、可笑しいに変換されてしまうのです。きっと、これが文字がまったくないイラストだけで構成された絵本だとしたら…。同じことを感じなかったかもしれないですよね。2014/05/17
かりさ
81
5年ぶりの再読。とっても大好きな絵本。ガーゴイルを主役としたモノクロの奇怪な世界がたまらなく可笑しくて可愛くて愛おしいのです。江國香織さんの訳がまたリズムに乗るかのように軽やかで素敵。雨どいとして屋根の上からにゅうっと顔を突き出すガーゴイル、夜になるとあちこちでガーゴイルたちのぼやきが始まります。その悲壮感がまた愛らしい。夜が明けてガーゴイルたちは再び、からっぽの目で虚空を見つめる。ディヴィッド・ウィーズナーの描くガーゴイルは、愛嬌があってお茶目さん。夜の世界が魅力的です。2016/04/03
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
79
モノトーンの絵が、ここここ怖いです。でも、人間臭くもみえるから不思議。ヨーロッパの街を歩くとよく見かけるガーゴイル。建物の屋根やひさしから突き出した怪物や動物の形をした構造物で、雨どいの機能を持っているもの。不気味なフォルムからいかにも物語のモチーフになりそうです。ガーゴイルが夜になると動き出すというシンプルな話で、ストーリーより絵と言葉を堪能する本です。江國香織さんの訳は、夜の物語の雰囲気がたっぷり。邪悪な姿をしてても、する事は仲間とぼやき合い昼間のストレスを解消するという日本のサラリーマンみたいです。2014/07/19
Natsuki
76
奇怪な人間や動物の彫刻を施されたガーゴイル。彼らが担う仕事は「雨どい」。そんなガーゴイルたちの悲哀に満ちた?嘆きとぼやきの夜。愚痴のひとつもこぼさなきゃやってられない厳しい仕事。それでも彼らは微動だにせず、今日も職務を全うする。そう『夜がくるまでは』ね( ̄ー+ ̄)2016/06/05
Y2K☮
42
屋根や庇から突き出した石造りのガーゴイル。雨樋として日中を過ごす彼らは静かに夜を待つ。誰にも気兼ねせず、自由気ままに過ごせる夜を。浦沢直樹「MASTERキートン」でユーリー・スコット教授はひどい論文を書いたキートンに「昼間働かねばならないなら夜学びたまえ」と教授用の書庫の鍵を渡す。キートンはそこで古今東西の文献に没頭し、学ぶ喜びを知った。明けない夜は無い? でも明けなくていい夜もある。まるでビートルズ「ブラックバード」。君はただ自由になる瞬間を待っている。理不尽で傲慢な昼の社会へのささやかなアンチテーゼ。2016/06/10
-
- 電子書籍
- やはり俺の青春ラブコメはまちがっている…