感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
qoop
6
キリスト者とシュルレアリスト(≒悪魔崇拝者)… 相矛盾した両極を超経験/超言語的な神秘主義によって架橋し、統一感のないまま内面化したのだとすれば、著者にとって自己の内面は語るべきテーマではなく、示すだけのものとなったと云えようか。三人の語り手が一人に集約される本書の構成は破綻とも取れるが、(本質的に意図せぬ)前衛と取るならば、内外の区別を超えた一種異様な物語として屹立するのかも知れない。ただ素直な肯定を拒む、理解をあざ笑うエゴの核が見えるのも確か。2017/04/10
ハルトライ
2
訳者が解説、あとがきを使って長々といろいろ書いているのだけど、僕には、訳者がなにを言っているのかよく分からない。この小説は、立派に小説であるし、そして、最高に面白いではないか。深遠さに繋がらないとあるが、<自分の下意識で聞き取った悪魔の声を、自らの声に>しているにすぎないと宣言している小説にあなたはなにを求めているのか?と言いたくなる。小説の文章には、作者自身の自意識でもない自己顕示でもない、勝手に湧いてくるものが含まれている、という話は深遠ではないのか?訳者の読解はひたすら引っかかるが、本編は面白い。2015/03/28
まんだむ
0
すらすら読めたし、面白かった。自伝的でもあって、小説的でもある。あらかじめ配されたアイテムがあとあと絡んできたり、過去と現在がないまぜになって、語り手の「私」が失われていく。個人的にはめちゃくちゃ面白かったんだけど、人を選ぶのかなー、とも思った。2018/08/20
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