内容説明
ノートに綴られた覚書から、80歳を超えたグラックが編んだ188篇の断章。風景をつなぐ街道、夢の街道、記憶の街道、読書や芸術の街道…地理学者としての客観的な目、詩人としての幻想的ポエジー。各断章が響きあい絡む、紀行文的、回想録的、文学論的エッセイ。
著者等紹介
グラック,ジュリアン[グラック,ジュリアン] [Gracq,Julien]
フランスの小説家、詩人、批評家。本名ルイ・ポワリエ。1910年仏西部、ロワール川沿いサン=フローラン=ル=ヴィエイユ生まれ。ナントとパリで学び、1930年高等師範学校入学地理学専攻。1934年高等教育教授資格取得。ナント及びカンペールのリセ勤務。1938年処女作『アルゴールの城にて』刊行。1939年第二次世界大戦開始直前アンドレ・ブルトンに初めて面会。1940年ダンケルク近郊で捕虜、翌年解放。1942‐46年カン大学地理学助手。1947‐70年パリのリセ・クロード・ベルナールの地歴教師。2007年12月22日老衰のため死去
永井敦子[ナガイアツコ]
1961年東京都生まれ。上智大学大学院文学研究科博士後期課程中退。フランス、アンジェ大学文学博士(博士論文『ジュリアン・グラックと戦争』)。現在、上智大学文学部教授。おもな研究領域は20世紀フランス文学、特にシュルレアリスム、サルトル、マルローなど(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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qoop
7
風景・歴史・芸術などを狭い範囲で切り取り論じた掌編エッセイ集。視点の据え方に独自性を保ちつつ公的なテーマである点、点景をつなぐと著者の思索の広がりを感じられる点… なるほど開かれた〈街道(grand chemin)〉という表題が馴染んで来る。経験を醸造した結果を記した本書は年月をかけ踏み固められた道とも通じる。平坦な箇所もあれば凹凸もある道の面。本書にもまた静謐さ、偏愛、怒りがある。古い戦艦への愛着(p185)、ナポレオン三世への酷評(p193)などは、風景描写と等価で著者という大道の相貌を成している。2017/04/27
まんだむ
1
グラック最後の著作、ということで188の断章からなる一冊。タイトル通り、世界の街道をゆくみたいな感じで読んでたけど、途中から第二次世界大戦とか文学、芸術とかの話に変わっていき、それも違和感なく移って行って、時間はかかったけど楽しく読めた。ブルトンに始まって知ってる名前の作家、画家が多く出て来てそれも良かった。2017/08/20