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内容説明
チェコの民衆の胸を熱くさせる栄光の記憶―十字軍の遠征、オーストリア継承戦争など歴史の波に、不老不死、悪魔との契約、また運命のロマンスが語られる、ナチス占領下に、誇りを取り戻すべく書かれた16篇の物語。
著者等紹介
クプカ,フランティシェク[クプカ,フランティシェク] [Kubka,Frantisek]
1894‐1961。プラハ生まれ。散文作家、詩人、劇作家、文学史家、翻訳家であり、かつチェコで最も才能のある語り手の一人と言われる。1912年カレル大学入学、ドイツ文学を修めるも、第一次大戦勃発で従軍。1915年ロシア軍に捕らえられ捕虜収容所を転々とし、ロシア語ならびに当時の現代ロシア文学を学ぶ。1921年帰還。1929年プラハのドイツ語新聞「プラーグ報知」の主筆。1939‐40年ゲシュタポによりベルリンで投獄、1946‐49年ブルガリア大使を務めた
山口巖[ヤマグチイワオ]
1934年生まれ。専門はロシア言語学。1992年京都大学大学院人間・環境学研究科(文化環境言語基礎論講座)教授、1998年鳥取大学教育学部教授、2003年鳥取環境大学教授。2005年同退職。京都大学、鳥取環境大学各名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
69
『カールシュタイン城夜話』の作者が紡ぐ、チェコに地を置いた芳醇な歴史物語達集。東欧の中心であり、外交が活発ながら、その為に周辺の国々に翻弄されたチェコ。それでも人々は夢を抱き、恋をし、降りかかる運命に慄き、現実に立ち竦み、時には自分に課せられた義務のために望みを諦めて生きてきた。それはこれからも続くのだろう。チェコ版浦島太郎とも言える「オマール王の物語」が切ない。しかし、賢帝、ヴァーツラフは素敵だ・・・。そして日記形式で綴られる『狭き門』的な「見知らぬ者の日記」にしみじみしてしまいました。2017/02/15
春ドーナツ
11
社会主義体制下のチェコ(プラハ)で書かれた歴史小説の短篇集。ひとつの話につき70前後の注釈がある。通勤通学の列車で読むには不向きだろう。寝ころび読書も試したが、何度もページの往復を強いられるので、結局喫茶店で大半を読んだ。共産主義というのは宗教を否定する。宗教と密接に絡み合う歴史も軽視される傾向がある。著者はそこに「待った!」をかけ、中世、近世のチェコの歴史を世界の共有財産として残すべく本書を執筆した。検閲と戦いながら。2017/06/12
rinakko
7
素晴らしい読み応え。チェコにどぷり…と、心ゆくまで浸ってため息ばかり。偉大な帝国の光芒も、その先の小昏い憂愁も、誇らかに自国の歴史を語ることの尊さが胸をうつ。カール大帝に仕えたデンマーク王が、数奇な運命をたどる「オイール王の物語」に始まり、十字軍遠征、カレル四世とその妃、プラハの幻想と恋物語、ブルジョア革命…などなど。時代が下るように作品が並べられ、表題作に至ると、チェコの学者の姿に作者自身が重なる。ある作家について、彼女に恋をした青年の視点から綴った「見知らぬ者の日記」は、流れの中では少し異色で好きな話2014/03/31
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