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絵本地獄 - 千葉県安房郡三芳村延命寺所蔵

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  • サイズ A4変判/ページ数 32p/高さ 29cm
  • 商品コード 9784892190957
  • NDC分類 E
  • Cコード C8737

出版社内容情報

しつけに最適と、にわかに大ブーム!
悪いことをしたら地獄に落ちる──その真意は命を粗末にするなとのメッセージ。
千葉・旧安房郡延命寺秘蔵地獄絵巻をもとに、死ぬことの怖さ、
命の大切さを子供たちに培うロングセラー絵本。

三途の川をわたり、閻魔大王の前に出て、針地獄の宣告を受ける五平。
「こんどだけは生きかえらせてやろう。だが、おこないをあらためなければ、このつぎこそ地獄だぞ。地獄がどんなところか、とっくりとみせてやろう。
もとの世にかえって、みなのものにはなしてやるがよい……」

漫画家・東村アキコさん絶讃!
「うちの子はこの本のおかげで悪さをしなくなりました」


編集者コメント
この本の中の地獄絵は、千葉県安房郡三芳村延命寺に所蔵されている十六幅の絵巻をもとに構成したものです。これは、一七八四年(天明四年)、江戸の絵師によって描かれたものですが、作者の名はわかっていません。
制作に当たり、延命寺の佐々木竜之さんには、いろいろご便宜を図っていただきました。また監修は国立文化財研究所の宮次男さんにお願いして細かい点のご指導をいただきました。写真は、国立文化財研究所で古い絵巻を撮ってベテランの市川和正さんを煩わし原画の忠実な再現に成功しました。
本文のストーリーは室町時代につくられた“平野よみがえり草紙"などにより、白仁成昭さんが構想し、中村真男さんが文章を起しました。装幀、レイアウト、本文中一部の絵は、気鋭のデザイナー貝原浩さんがやりました。

地獄絵はいろいろな様相をもっていますから、見る人によって受け取る意味はそれぞれ異ってくるでしょう。
私たちは、これを見る子供らが、「死ぬことはこわいことだ」ということを強く心に刻むであろうと、それを主題に絵本づくりを思いたちました。本の制作に先立って、小学校二年生の男女三十四名に絵を見せ、感想を求めました。結果は、「死ぬのはいやだ。こんなところへ行きたくない」と異口同音に答えて、私たちの予想をうらづけました。
ひとの死に対する恐れは本能といわれるものでしょうが、それはまた、学習によって強められることを、日常の経験を通して私たちは知っています。昔の人が医学の末発達のそのころ、地獄絵を子どもらに見せ、死の怖れを語り、行動の自制を求め、生への執着を強めて子孫の持続を計ろうとした。と考えると、この絵図はその時代の人が生んだ大いなる叡知の一つといえます。
いまの子供らは、家族の単位が変化し、医療のあり方が変って祖父母や兄弟といった肉親の死に直面する機会がめったになくなりました。昨日役柄の中で死んだ俳優が別の役割で今日出るといったテレビから、死ぬということを子供らはどうとらえることができるでしょう。さらに「科学的にモノを見よ」という教育は、「死のこわさ」について殆ど語ることができていません。
文明は危険な環境を日々ふくらませています。それにひきかえ「死のこわさ」を学習するチャンスは、ますます遠のくばかりです。
いま、私たちが子供らにしてやらねばならぬこと、それは、生きることのよろこびたのしさを存分に教え、と同時に自らの生命を尊び、自らそれを強く守るという心を培ってやることでしょう。それはまた、他者への思いやりや生命を尊ぶ心につながっていきます。
死を恐れることのない子供らが育っていくとしたら、こんなにこわいことはありません。

1980年8月16日 風濤社