内容説明
60年にわたる戦後体制の下、歪められた歴史観に捉われ、自己欺瞞、自己否定に陥り、真のアイデンティティを見失った日本人に警鐘を鳴らす渾身の力作評論。三島由紀夫、石原慎太郎、江藤淳、村松剛らを論じる文芸評論を併載。
目次
第1部 百年前の明治時代に回帰する日本(東アジアの現勢は日清戦争前夜に外ならず;日清・日露戦争の戦後に日本が直面したもの;日露戦争に学ぶ、明治人の気概)
第2部 箍が外れてしまった戦後体制(一日も早く憲法を改正せよ;戦後日本が失った国家意思の源泉;「傍観者」と「だだっ子」の日本を拝す;「いじめ自殺」が象徴する戦後日本の、耐えられない弱さ)
第3部 戦後六十年の崩壊の中から、不死鳥は甦るか(日本を刷新する石原慎太郎のアジア戦略;「戦後」を虐殺した、福田和也の「陽気なファシズム」;丸谷才一の『忠臣蔵』反体制論は、戦後作家の妄想である)
第4部 自決した文学者たちは、何を予見したか(国家の「全的滅亡」を予見した、江藤淳の自決;甦える三島由紀夫と「文武両道」の沙漠;村松剛が葬儀で示した二つの遺書)
著者等紹介
入江隆則[イリエタカノリ]
評論家。1935年横浜生まれ。京都大学文学部卒。東京都立大学人文学部大学院修了。ロンドン大学アジア・アフリカ学部(SOAS)客員研究員、オーストラリア・ナショナル大学(ANU)太平洋アジア研究所客員研究員、モナシュ大学日本研究センター客員研究員、明治大学商学部教授を歴任。主な著書に『幻想のかなたに』(新潮社、第四回亀井勝一郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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