内容説明
厚生省傘下の国立予防衛生研究所〈予研〉は、大量の病原体、組み換え遺伝子、放射性物質、有害化学物質、実験動物を扱う日本最大の病原体・遺伝子組み換え実験施設である。当然、その感染実験等による排気・排水等によって周辺の環境・生態系が汚染され、バイオ時代の新しい公害である「生物災害」を発生させる危険性は否定できない。ところが予研は、日本で最大の過密地域といわれる東京・新宿区の住宅密集地―障害者施設・早大に隣接する狭い土地への移転を密かに計画し強行した。厚生省・予研の立場は、危険な病原体等を扱う巨大実験施設は、どんな人口密集地に立地されてもかまわないというのだが…。本書は、諸科学の総合によって「バイオ公害予防の法理」を確立しようとするわが国初の試みであり、未来世代へ向けた人権と環境を守る法廷大論争の記録である。
目次
なぜ予研の移転と実験の差し止めを提訴するか
予研の移転と実験の差し止め提訴のための序論
原告請求内容の補足
住民・早大と予研のこれまでの論争の総括
早稲田大学はなぜ予研移転に反対するのか
予研移転差し止め請求の意味
予研移転の民主的手続きの欠如と非“適地”性
予研は障害者への差別を止めよ
予研はなぜ環境影響評価を怠り「予防衛生」を破壊するのか〔ほか〕
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