内容説明
ロシア革命の旗手として民衆の絶大な支持を集めた「赤い道化師」ヴィターリイ・ラザレンコの波乱に満ちた生涯を追うとともに、彼の盟友としてアヴァンギャルド芸術を力強く牽引したメイエルホリド、マヤコフスキイ、エイゼンシュテインらの足跡をもたどる、臨場感あふれるドキュメント。革命期のロシアを再現する、貴重な図版約120点を収録!
目次
プロローグ 一九八九年春、マヤコフスキイ広場
第1章 革命と道化師
第2章 メイエルホリド、マヤコフスキイとともに
第3章 サーカスは陽気なサナトリウム
第4章 最後の闘い
第5章 ラスト・ステージ
著者等紹介
大島幹雄[オオシマミキオ]
1953年、宮城県石巻市に生まれる。1979年早稲田大学文学部露文科卒業。大学卒業後、ソ連・東欧のサーカスや劇団を招聘するプロモーション会社に勤務。1988年、(株)アフタークラウディカンパニーに入社、イベントや公演をプロモートし、日本各地のテーマパークに海外のサーカス団を招く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春ドーナツ
12
幼少の頃、教育テレビで初めて観たチャップリンの映画を懐かしく思う。「革命」はその刹那、祝祭性を帯びる、と誰かが言った。ロシアでは「1905年」を契機にモダニズム運動が開花したそうだ。サーカス、いわんや道化師なるものが中心となってアバンギャルドが展開されていく。風刺からプロパガンダへ、その揺り戻しを経て、スターリンによって止めを刺される、本書の文言を借用するなら、まさに束の間の、表現という名の「青春」であった。夢かうつつか、定かではないけれど、一度だけサーカスに連れていってもらったことがあるように思う。はて2023/03/20
はちゑ
0
ソ連の道化師ラザレンコの生涯を書き綴った作品。単純にサーカスは楽しいな〜と思って観覧をしていましたが、革命の時期には思想やメッセージが込められていたことを初めてこの本で知りました。ゴーリキーやマヤコフスキーの脚本によるサーカスもあったとのことで、劇とかなり近い立ち位置だったのですね。(そういう意味では現在のシルクドソレイユにも通じる?)最後の参考文献の膨大さと彼のことを書いた方を訪ねてモスクワまで行った作者さんの行動力に脱帽です。2025/01/18