内容説明
小説、哲学、演劇、美術、メディアなど、多様で深遠な、知のるつぼともいえるベケット作品を精査した、ノーベル賞受賞者クッツェーをはじめとする、国内外の研究者たちによるベケット研究の最前線。
目次
1 第一の方法―クッツェーの目で見る
2 第二の方法―境界を探る
3 第三の方法―主体を欺く
4 第四の方法―イメージを読む
5 第五の方法―道化る
6 第六の方法―想起/予期する
7 第七の方法―人間をやめる
8 第八の方法―幽霊にとり憑く
著者等紹介
岡室美奈子[オカムロミナコ]
1958年、三重県生まれ。アイルランド国立大学ダブリン校にて博士号を取得。専攻、現代演劇、テレビドラマ研究。早稲田大学文学学術院教授。Journal of Beckett Studies顧問
川島健[カワシマタケシ]
1969年、東京都生まれ。東京大学大学院にて博士号取得。ロンドン大学ゴールドスミス校にてMPhil取得。現在、広島大学准教授。専攻、英文学、演劇学、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SHIGEO HAYASHI
5
本書はベケット生誕100年を記念して2006年に行われた国際シンポの論集『ボーダレス・ベケット』を基にした日本語編集版。J・M・クッツェーをはじめ、スティーヴン・コナー、ブリュノ・クレマン、アントニー・ウルマン等々、世界の第一線で活躍するベケット研究者たちがずらりと顔を並べ、そこに日本の研究者たちも加わった貴重な論集。これだけ国内外の名だたるベケット研究者が顔を揃えたものはこれまでに邦訳はなく、論集としての質は今までで最高ではないかと。テーマも切り口も多彩。さまざまなベケット像がいろんな角度から浮彫に。2013/04/20
なめこ
2
語ろうとするそばからかたちを変えてするりと逃げられるといったようなベケット作品を、一体どのように批評するのだろう?と興味をもって読んだ。それぞれの論者が哲学、美術、生物学などさまざまな切り口でベケットをとらえることで、逆説的だけれど、ベケットのとらえがたさが浮き彫りになる刺激的な一冊だとおもう。2015/12/09