内容説明
ベケットが演劇と文学の地図を塗り替えて半世紀、いまようやく本当のベケット像が明かされる…。新進気鋭の執筆陣が、『ゴドー』、メディア論、イメージ論、演劇論などさまざまなアプローチによって、「不条理劇作家」ではない、新たな作家像に肉薄する試み。
目次
1 「ゴドー」のいま(結びのパラドクス―『ゴドーを待ちながら』における執筆の軌跡をめぐって;歓待の失敗―『ゴドーを待ちながら』と他者の迎え入れ)
2 耳をすます―メディア(ひび割れた声、開かれた瞳―『クラップの最後のテープ』における裂開と合一のイメージ;ロンドンのアイルランド人―ベケット『なつかしの曲』/パンジェ『クランクハンドル』をめぐって;見える身体のゆくえ―『わたしじゃない』における「聴き手」の不在を考える)
3 想像/創造せよ―散文(「死せる想像力よ想像せよ」―球形、アンドロギュヌス的イメージの表象をめぐる考察;「同伴するために」―『伴侶』におけるイメージの創造と境界の感覚)
4 反復のはてに―後期演劇1(起源なき痕跡としての身体―『あしおと』における指標性;終わりなき流離―『なに どこ』における構造の不確定性について)
5 幽霊たち―後期演劇2(演劇の“今(maintenant)”を転倒させること―サミュエル・ベケット『モノローグ一片』における“捉まえる手(la main tenante)”
霊媒ベケット―蓄音機としての『オハイオ即興劇』と『ユリシーズ』)
著者等紹介
岡室美奈子[オカムロミナコ]
1958年、三重県生まれ。アイルランド国立大学ダブリン校にて博士号を取得。専攻、現代演劇、テレビドラマ研究。早稲田大学文学学術院教授。Journal of Beckett Studies顧問
川島健[カワシマタケシ]
1969年、東京都生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ロンドン大学ゴールドスミス校修士課程修了(哲学修士)。現在、広島大学准教授。専攻、英文学
長島確[ナガシマカク]
1969年、武蔵野市生まれ。ドラマトゥルク、翻訳家。創作現場に欠かせぬブレインとして、『アトミック・サバイバー』(東京国際芸術祭、2007)、『長短調(または眺め身近め)』(あうるすぽっと、2010)、『豊島区在住アトレウス家』(東京アートポイント計画、2011)等、さまざまな上演作品やアートプロジェクトに参加している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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メルセ・ひすい
SHIGEO HAYASHI