内容説明
吝嗇家の夫との田舎暮らしの虚しさを埋めるため、詩を書きはじめたディナ。それが話題となり、批評家ルーストーの愛人となった彼女は、とうとう夫を捨て、パリへと出てくるが…。ジョルジュ・サンドを彷彿させるような女作家を主人公とした表題作など、「文学」と「狂気」が交錯する2篇を収録。すべて新訳の新シリーズ第3弾。
著者等紹介
加藤尚宏[カトウナオヒロ]
1935年、東京に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院博士課程修了。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学
芳川泰久[ヨシカワヤスヒサ]
1951年、埼玉県に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院後期博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻、フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ピンガペンギン
19
「田舎のミューズ」サンセールという田舎町(当時の人口がわずか3500人と書かれている。ネットで調べたら今は1400人しかいないようで、バルザックの予想通り過疎化がすすんでいる。美味しいワインの産地らしい。)サンセールの住民は三分の二がカルヴァン派であったが「清教徒的な堅苦しさは少しもない」。バルザックの小説は前書き(時代背景をえんえんと述べる)を辛抱しているとだんだん面白くなることが多いが、この小説は読むのに難儀した。わかったのはフランスにおけるパリの重み(それは重過ぎるのかもしれない)はロンドン、東京→2023/09/20
きりぱい
6
田舎のミューズは、もはや田舎ではミューズだな、と思っていたら、まんまと?田舎のミューズで幕を閉じた!良くも悪くも一番キュンと来たのは、ニュシンゲンがやっぱりなまって出てきた来た時だった~。もう一編の「ド・ガディニャン公妃の秘密」を読むと、短いのにモーフリニューズ公爵夫人(公妃)が主役だわ、過去に籠絡されたおなじみの顔ぶれが揃うわで、田舎のミューズが霞んでしまう。舞踏会の手帖ならぬ、過ちの選集なんてのを夫人は残しているのだ!それを見てさて何を思うのか・・。2010/12/24
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