内容説明
最愛の妻モーナと芸術家ステイシャ。彼女たちとの奇妙な共同生活のなかで、若きミラーは雄大な構想の小説を書き続けてゆく。自伝的三部作、完結篇。
著者等紹介
田澤晴海[タザワハルミ]
1951年、東京、品川に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程修了。現在、早稲田大学講師。専攻、二十世紀英米小説(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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無能なガラス屋
3
死にかけの人間を甦らせるか、さもなくばとどめを刺してしまう本。2023/02/11
星屑の仔
3
作者自身の青春時代の孤独と廃頽を感じた。作品が売れなく自身の才能や存在意義さえ見いだせない部分と、大切なものを悟り何を書き何を表現すべきか知りえた部分と、大きく分けて2パートに分かれると思う。前者は、いかにも空虚で自分自身何も持っていない存在のように書かれているが、実際は「書きたいもの」「表現したいもの」「目指すべき方向性」沢山ありすぎて見いだせていないのに対し、後者は、ある程度の名声もお金も手に入れたのに、創造すること自体への忌避が感じられる。作者自身ずっと満ち足りない人生を過ごしてきたのだろうか。2016/06/29
mak2014
0
ヘンリー・ミラー自伝的三部作を読み終わる。ミラーが長編小説を書き上げ妻と共にヨーロッパに旅立つところで終わるのだが、そのためか『セクサス』『プレクサス』で感じた静謐さと異なり、溜まったエネルギーが今にも爆発しそうな予兆を感じた。新潮文庫版でかなり昔に読んだ『北回帰線』『南回帰線』も水声社版でいつか読みたい。水声社のヘンリー・ミラー・コレクションはとてもすばらしいが、『ネクサス』では誤字・脱字、注釈の間違いが見受けられたのはちょっと残念。2016/03/23