内容説明
1980年代後半に再発見され、一躍世界的評価を得た写真家・作家・思想家クロード・カーアン。先駆的な作品によってジェンダー・アイデンティティを問い、クィア的視点からもアプローチされている、特異なシュルレアリストの虚像・実像に迫る。女ではなく男でもなく…偽装するセルフポートレート。『ヒロインたち』等からの文学的テキストも収録。
目次
序章 カーアン再発見
第1章 生涯
第2章 女ではなく男でもなく
第3章 複数形の単数
第4章 危機の時代を生きる
終章 新しい天、新しい地
付録 クロード・カーアン抄訳集
著者等紹介
永井敦子[ナガイアツコ]
1961年、東京都に生まれる。上智大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士後期課程中退。アンジェ大学文学博士号取得。現在、上智大学文学部教授。専攻、二十世紀フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sailor
2
女でもなければ男でもなく、芸術でもなければ革命でもない。デヴィッド・ボウイは自らがキュレーションを手がけたハイライン・フェスティバル(2007年・NY)においてカーアンの屋外インスタレーションを企画開催、何度目かの再評価を促しました。剃髪、男装、性別を取り払った表現はシュルレアリストのなかでもとりわけ異質。幻想文学ファンにはかのマルセル・シュオッブの姪であることも知られています。『架空の伝記』に『二重の心』、、カーアンのフォトモンタージュを観ては「叔父の血が姪にも、、」とか、わかった気になってしまいます。