内容説明
なぜ、いまなお私たちは小島信夫に魅了されるのか?作家と評論家が縦横に語りつくす等身大の魅力とその実像。小島信夫との発掘対談も併録。
目次
第1章 対話篇1 小島信夫と読書の来歴
第2章 千石英世―小島信夫ふたたび
第3章 対話篇2 小島信夫をどう読むか?
第4章 中村邦生―小島信夫的なるもの
第5章 対話篇3 小島信夫の新たな光源
第6章 小島信夫との対話
著者等紹介
中村邦生[ナカムラクニオ]
1946年、東京都生まれ。作家、大東文化大学文学部教授。1993年「冗談関係のメモリアル」で『文學界』新人賞を受賞。「ドッグ・ウォーカー」、「森への招待」がそれぞれ芥川賞候補となる
千石英世[センゴクヒデヨ]
1949年、大阪府生まれ。文芸評論家、アメリカ文学者、立教大学文学部教授。1983年「ファルスの複層―小島信夫論」で『群像』新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoyogi kazuo
1
小島信夫はその特異なスタイルにも関わらず周囲に理解者や、いってみれば信奉者のような存在に不足しなかった印象がある。この本の著者二人もその中に含めてよいと思う。もちろん徒に小島信夫を持ち上げているのではなく、それなりの見識に基づいて作品の意義を論じていて肯ける部分も多い。例えば、最後の章に収録されている小島と中村邦生との対談(1993年)において小島が漱石「こころ」の同性愛的側面をはっきり指摘しているのが印象的だった。2021/06/07
もろろろ
1
第三の新人として読めなくもないが大江・安部のようにあからさまに何か意図のある「前衛」小説を書いたわけではない。小島先生の意図とは何なのか。文章が自分の生き方と引っ付き、あらゆる人々を巻き込み(ついには読者まで!)登場させてしまう、その壮絶でへんてこな小島信夫を語るには独特の覚悟がいるし、独特の表現を編み出さなくてはいけない。むしろそうしないことには他のどんなことを語るにしても語ったことにはならない、という危機をもたらすことになるだろう。その危機の中に小島先生は生き続けてしまう。なんとやっかいで喜ばしい!2011/01/03
nakaraitohsui
0
中村氏による小島信夫追悼文に泣いた2009/08/12