内容説明
パリ郊外の移民を「社会のクズ」と呼んだ男、ニコラ・サルコジ。なぜ彼はフランス大統領に選ばれたのか?現代フランスを代表する哲学者が、新自由主義と排外主義を標榜する現職大統領を徹底的に批判し、新たなコミュニズムを提起する。本国フランスでベストセラーとなった話題の状況論、ついに刊行。
目次
第1章 選挙前
第2章 選挙後
第3章 八つのポイント、発端
第4章 第八番目のポイント
第5章 こうした状況の中で、勇気が…
第6章 フランスにおける超越論的なものとしての「ペタン主義」
第7章 買収されざる者
第8章 コミュニズムの仮説は放棄されるべきか?
第9章 コミュニズムの仮説の歴史とそのアクチュアルな瞬間
著者等紹介
バディウ,アラン[バディウ,アラン][Alain,Badiou]
哲学者、思想家、小説家。1937年、モロッコに生まれる。高等師範学校で学び、パリ第八大学、高等師範学校、国際哲学学院などで教鞭を執りつつ旺盛な執筆活動を続けている
榊原達哉[サカキバラタツヤ]
1967年、名古屋市に生まれる。同志社大学大学院博士課程を経て、ストラスブール大学大学院DEA課程修了(DEA取得)、現在は徳島文理大学教員。専攻は哲学、現象学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろゆき
2
ビジネス書のような装丁だが、現代フランスの最高の哲学者の講義をもとにした著作。移民は求めながら、恐怖を煽り、「壁」をつくる右翼政治家サルコジの政治への告発。壁の内側での古色蒼然たる道徳の称揚の胡散臭さを暴く。これを読むと、最近のテロも、壁により隔離された底辺の反乱的な側面もあるのだろうかとも思う。さらに書は進んで、現代を、パリコミューンとマルクス晩年までの第一、1914年からロシア革命を経て70年頃までの第二、につぐ第三のシークエンスのへの中間ととらえ、コミニュズムの仮説の存在を確保するよう呼び掛ける。2016/01/22
肉欲棒太郎
1
「投票は、本質的な失見当識から採取された、選択の虚構的形式である」「普通選挙そのものに敬意を払うことは絶対にない、敬意を払うとすれば、この投票が何を為したか、それ次第だ」「民主制は数の法則を押しつける。商品によって統一された世界は、すべて数による貨幣法則を押しつけるのである。」資本主義=民主主義に対する容赦ない罵倒が刺激的!2016/03/21