内容説明
終末を予兆させる近未来都市。現実と虚構のあわいを超える。いま、女たちのサヴァイヴァルが始まる。著者による「一つの自伝の試み」。ノーベル文学賞受賞作家の本。
著者等紹介
レッシング,ドリス[レッシング,ドリス][Lessing,Doris]
1919年、ペルシア(現イラン)に生まれる。両親はイギリス人。のちに南ローデシア(現ジンバブエ)に移り、かの学校に入学するもなじまず、学校を離れ、以後、独学を続ける
大社淑子[オオコソヨシコ]
福岡県に生まれる。現代英米文学専攻。早稲田大学大学院博士課程修了後、早稲田大学法学部教授を経て、早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
198
名前なき老女 私が語る 心象風景が 印象的な物語である。 離れたところから、遠い世界を観ている 感覚である。 見知らぬ男に連れられてきた少女エミリと 私の物語だが、外に出ない私と 躍動的なエミリとの対比が 面白い。 現在と過去が交錯し、エミリの日々・成長が 語られるが、私は見るだけで 何もできない.. 世界が崩壊していく中で、戦うジェラルドと エミリ達..混沌とした中、最後 エミリは 解放されたのだろうか?不思議な物語だった。2017/06/28
まふ
112
SFに分類されているようだがそれらしい実感がわかず、少女の成長記のような感覚で読んだ。未来のある時点、「それ」が起こって以来、世界は生きにくい状況になっているようだ。自分に突然預けられた12歳のエメリーが成長するのをじっと見つめる主人公の中年婦人。ジェラルドという青年が集団を率いて生活しているようだがそれが何だかよくわからない。ヒューゴウというメアリーの愛玩する犬と猫の交雑種もいる…。と、今日的なのか虚構の世界なのか分らぬまま終わってしまった。総じて印象の薄い作品だが、名著とされているらしい。G1000。2024/01/08
ヘラジカ
30
案に相違してというか、正直に言うと非常に厄介な小説であった。解説の「空想小説というよりは一種の社会小説として読まれるほうがふさわしい」との言葉通り、SF小説として接すると意気が挫かれてしまいそうだ。思弁小説という点ではSFに違いはないのだが…。この作品内では、現実が思索の世界を構築する一部品と言った印象、ある意味では実験的で一風変わった小説である。面白く読んだがイマイチ踏み込めなかった感が拭えない。レッシングの他作品を読み、作者の思想等を勉強していつか再挑戦したいと思う。2016/04/04
愛玉子
19
何があったのかはわからない。「それ」が起きたために都市の公共業務は停止し、食料は手に入れ難くなり、破壊と略奪が頻発し、それでも「大したことはなにも、少なくとも取り返しのつかないことはなにも、起こってはいない」と日々を送る名も無き老女。彼女の元に突然託された見ず知らずの少女エミリと、猫のような犬のような醜い生き物ヒューゴウ。傍観者たる老女とは裏腹に、12歳の少女は部屋を出てこの世界と折り合いをつけようとする。エミリにひたすら忠実なヒューゴウが段々愛らしく思えたり。がしかし、ラストが唐突過ぎる!誰か解説を〜!2021/02/19
星落秋風五丈原
18
【ガーディアン必読1000冊】これ初版サンリオから出てたんですね。SFです。2023/02/27