想起の空間―文化的記憶の形態と変遷

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 575p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784891766511
  • NDC分類 141.34
  • Cコード C0020

内容説明

記憶術をはじめ、ニーチェ、アルヴァックス、ノラらの研究、シェイクスピア、ワーズワース、プルースト、ヴォネガットらの文学作品、キーファー、ボルタンスキー、カバコフらの現代芸術などを手がかりに、記憶研究におけるドイツの第一級の知性が、古代からデジタル時代に至る想起の文化史を概観し、想起の空間の多彩なパノラマを提示する。

目次

第1部 機能(“技”としての記憶と“力”としての記憶;記念の世俗化―メモリア、ファーマ、ヒストリア;シェイクスピアの史劇における思い出の戦い;ワーズワースと時の傷;記憶の箱;機能的記憶と蓄積的記憶―想起の二つの様態)
第2部 メディア(想起のメタファー;文字;イメージ;身体;場所)
第3部 蓄積装置(アーカイヴ;持続、腐朽、残存物―保存の問題と文化のエコロジー;忘却の休閑地における記憶のシミュレーション―現代の芸術家たちによるインスタレーション;苦難の宝としての記憶;アーカイヴのかなた)

著者等紹介

アスマン,アライダ[アスマン,アライダ][Assmann,Aleida]
1947年、ドイツ・ビーレフェルト近郊のベーテルに生まれる。コンスタンツ大学英文学・一般文学教授

安川晴基[ヤスカワハルキ]
1973年、広島県に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻博士課程単位取得退学。2004‐2007年、ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてベルリン自由大学博士課程に在籍。専攻、ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

EnJoeToh

9
素晴らしい。2019/05/18

飛燕

2
はじめにあるように、「文化的記憶」の概念枠組を示したというより、「比喩としての記憶」である「社会=文化に共有された過去」が、人間の「想起」と「忘却」によっていかに形成されてきたか、文字やメディア(情報伝達物質)がどのように「想起」に関わってきたのか、といった観点から、ある意味「歴史的」な仕方で立論を行っている。理論は提示してないが、「歴史」と「記憶」の区別に関する見解は注目に値する。理論を理解するならCultural Memory Studiesなどの入門書に当たるほかない2012/10/06

ゆうき

0
記憶は蓄積記憶というストックされていく記憶と趣旨選択された機能記憶がある。私たちを共通に結びつけるのは記憶だ。共有した記憶が国民としての意識が連帯として動員される。集合的記憶も共通された記憶によって集合的な意識が形成させる。私たちを想起するのは記憶である。そして記憶は個人的な記憶から美術館や式典やモニュメントといったナショナルな媒体によって記憶を後世に伝える機能を持っている。しかし、それは機能記憶という趣旨選択された記憶だ。それの反対に忘却という機能によって記憶から消え歴史とならなかった物語がある2013/05/23

Was

0
クレーリーにしろこの人にしろ、情報量が多く、説明が割とくだくだしくて読むのに難儀する。それはさておき、内容は記憶の機能とそれに関わるメディアやアーカイブの在り方をメタファーを駆使して読み解いていくというもので、けっこう使えそうなレトリックがちらほら。次はデリダかな。2011/10/18

毒モナカジャンボ

0
物凄い本。歴史学的な観点では、蓄積的記憶と機能的記憶の相補的パースペクティブを導入することで、ニーチェ、アルヴァックス以来の歴史と記憶の対立を解消させるところに中核がある。その前に、個体としての人間にまつわる記憶と想起の機構・価値評価の歴史が丹念に追われている。全てはアーカイブの元にあるのだが、ここでもごみの概念を導入することでアーカイブの専制を対立ではなく相補性の元に融解させる。この本自体が想起と記憶のプロトコルに思えてくる。無意識は想起を忘却することを許さない。永遠の形而上学を持ち得た西洋の本だ。2020/04/21

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/318250
  • ご注意事項