内容説明
夢想を誘う七月の真夜中、岩山の懐からは煙が立ち上り、父親思いの優しい娘が失踪する。鍵を握るのは、若き天才ベランゲルト将軍の生涯につきまとう不気味な老人。人間を「束の間の生の子ら」と呼ぶ彼が姿を現すところ、不可解な事件が起こる。怪奇、幻想、ゴシック的恐怖…未来の大小説家の出発点となった流行小説、本邦初訳。
著者等紹介
私市保彦[キサイチヤスヒコ]
東京に生まれる。東京大学仏文科卒業、東京大学大学院比較文化比較文学専攻修士課程修了。武蔵大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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きりぱい
4
百歳だったらいてもおかしくない気がするけれど、これが19世紀の物語として始まり、その百歳というのが16世紀に死んだとされる歳だったら、300歳以上!?まさに怪奇。そんな老人と深い関わりのあるべランゲルト将軍。ロマンスにのめり込んで幻滅し、女性に不滅の愛を望むのは勝手だけど、待たされたあげく命をすり減らすマリアニーヌは哀れ。ラストはどう転ぶのかハラハラさせられたのに、終わり方に唖然。それなのにうれしいんだか可笑しいんだか、続きが次々付け足され・・。それほど描写は執拗でもなく、面白かった。2012/03/30
caster1
1
印象に残った言葉「愛するというのは、自分ではなくなるということだ。怖れ、希望、苦しみ、喜び、楽しみといった人間のあらゆる感情が、たったひとりの相手にしか左右されなくなるということなんだ。無限の中に身を沈めることなんだ。感情に限界を全く見いだせなくなるということなんだ。(略)要するに、その人に夢中になり、その人の息吹しか呼吸しないということなんだ。」2011/08/31
うずまき
1
面白かった!どんなにゴシック調怪奇小説でも、物語を社会と関わらせることを忘れない・・・バルザックは、人間喜劇じゃなくてもバルザックらしいんだな〜と思ってしまった。でも、人間喜劇ほどくどくないんじゃないかな?まだ若い頃のだからスタイル的な確立がまだなだけかね。2010/06/14
shuha
0
呪われた放浪者を取り巻く物語。入れ子構造というか、メタ物語というか。読み進めるのは抵抗はないのに話が転がらない。ま、それでも良いのか。2016/07/22
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