内容説明
混沌と情熱、神性と永遠を求めて、著者独特の詩情が全編にほとばしる、鮮烈なギリシャ紀行。
著者等紹介
金沢智[カナザワサトシ]
1965年、東京に生まれる。早稲田大学第一文学部を卒業後、同大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、高崎商科大学専任講師。専攻、アメリカ文学、文化論
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感想・レビュー
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なっぢ@断捨離実行中
3
ヘンリーミラーによるギリシア紀行――と書いたらさすがに語弊がありそうだ。ここに描かれているのは一人称文体に貫かれた圧倒的な俺による俺のための俺的ギリシアだからである。完全にミラー一級の文学作品として読むのが正しい。ギリシアが第二次大戦の戦禍に見舞われる前年に訪問したため、ところどころで戦争の影がちらついているが、「そんなん知ったことか!(意訳)」とギリシアを全力で味わい尽くそうとするミラーのKYな姿勢が笑えると共に妙に励まされる。文学の力とはまさしくこうでなくてはならないと改めて思い知らされた。2016/12/15