内容説明
十六世紀後半から十七世紀にいたる近代的世界観の形成期において、個人の主体化と世界の仮象化=客体化の意識をうながした「演劇」ひいては「絵画」というメディアの企てを、モリエールをはじめとするフランス古典主義芸術の作品のうちに読み解き、人間社会=現実世界における“演劇的なもの”の普遍的な力を炙り出す、注目の演劇学者による最新の研究成果。
目次
第1章 転形期の鏡―モリエール『プルソーニャック氏』について
第2章 王は踊る/王は見る―モリエール『豪勢な恋人たち』について
第3章 演技と排除―モリエール『町人貴族』に関する文化の詩学
第4章 演技の光と影―ラシーヌ『バジャゼ』について
第5章 仮想現実メディアとしての演劇―コルネイユ『イリュージョン・コミック』について
終章 「フランス古典主義演劇再考」の研究史的批評史的意義
付章 近代形成装置としての絵画―プッサン『ピュラモスとティスベのいる嵐の風景』を巡って
著者等紹介
矢橋透[ヤバセトオル]
1957年、鎌倉市生まれ。筑波大学第二学群比較文化学類卒業、同大学院博士課程文芸・言語研究科満期退学。現在、岐阜大学教育学部助教授。専攻、フランス文学、演劇学、表象文化史
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