内容説明
ディアーナ(アルテミス)の水浴する裸身を盗み見たゆえに鹿に変えられ、自分の猟犬たちに噛み裂かれてしまうアクタイオーン―この神話の注釈の形をとった本書は、クロソフスキーの他の諸著、とりわけ小説作品の解読の鍵を秘めている。「ディアーナは神々と人間との中間にいる守護霊と盟約を結んで、アクタイオーンに顕われる。ダイモンは空気のような身体によって、ディアーナのテオファニーの模像となり、アクタイオーンに女神を所有しようという向こう見ずな欲望と希望を吹きこむ。ダイモンはアクタイオーンの想像となり、ディアーナの鏡となるのである。」鹿に化しつつあるアクタイオーンにディアーナが投げたという挑発の言葉―「さあ語れ、衣を脱ぎすてたわたしを見たと、もしお前にできるものなら、してみるがよい」、神話の中のアクタイオーンには答えるすべもなかったこの言葉に、もう一人の瞑想するアクタイオーンであるクロソフスキーが答えた言葉、それがこの本である。
著者等紹介
クロソフスキー,ピエール[クロソフスキー,ピエール][Klossowski,Pierre]
1905年、パリに生まれ、2001年、パリに没した。リルケの庶子であり、画家バルテュスの兄である。若い頃、ジッドの知遇を受け、その秘書をつとめたことがある。34年にはバタイユと知りあい、彼を通じてブルトンなどのシュルレアリストたちにも近づく一方、バタイユの主宰する“コレージュ・ド・ソシオロジー”の活動に加わる。その後一時聖職者を志してパリとリヨンでカトリック神学を学ぶが、45年以後は俗生活に戻る。47年に刊行された『わが隣人サド』は第二次大戦後におけるサド研究の飛躍の先駆となった画期的著作であるが、これによって彼の文名は一挙に高まった
宮川淳[ミヤカワアツシ]
1933年、東京に生まれ、77年、東京に没した。東京大学文学部卒業。成城大学教授をつとめた。専攻、美学、美術史
豊崎光一[トヨサキコウイチ]
1935年、東京に生まれ、89年、東京に没した。学習院大学文学部卒業。同大学文学部教授をつとめた。専攻、フランス文学
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感想・レビュー
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またの名
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真田 光
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- 和書
- 心の文化と日本人