内容説明
なぜ「男のクローン」しか語られないのか?心霊の肖像写真、魔都東京の地下迷宮を徘徊せよ、『ナウシカ』とニーチェと永劫回帰、『もののけ姫』という名の無惨な「名画」、摩天楼空港…妄想の未来都市に欲望がうごめく。科学、文学、芸術…ポップ・カルチャーに見る、人々の欲望の系譜。理と文、学とオタクを越境する、文化のジャンクヤードからのカルチャラル・スタディーズ。
目次
1 ウエット・サイボーグ―単為生殖のユートピア序論(異形の千年紀(ストレンジ・ミレニアム)、異星の過客(エイリアン・ストレンジャー)―「エイリアン」と性差をめぐるいくつかの断章
カッコーの巣のサイボーグ―脳と体のSF的現在
男たちのいない世の中、女たちのいない世の中―クローン・テクノロジーと単為生殖のユートピア)
2 ハイ・ファンタシー―高みへと至る夢想(心霊の肖像写真―写真装置と心霊術;都市の頂の港―空港都市の夢想の系譜;絶叫マシンの考古学―ローラー・コースターの系譜 ほか)
3 地の呪われたるものども―都市と森との暗い奥(公園の腸―久生十蘭『魔都』地下迷宮を読み解く;永遠への血と肉の贄―筒井康隆『幻想の未来』と日本反進化論ファンタシーの系譜;腐食する記憶の東京―押井守『機動警察パトレイバー』の都市論世界 ほか)