内容説明
ドリュは一九四四年八月十一日の自殺未遂の後、生涯にわたる自殺願望を分析して「秘話」を書いていた。これが遺族の手で自費出版された直後に、本書は書き起こされている。死後に発表されたこの文章のおかげで、対独協力作家としてタブー視されていたドリュ・ラ・ロシェルは、自殺に憑かれ政治に躍らされた一種のロマン主義者として文学界に復権しつつあった。その第一歩を見据えながら、批判的に書かれた作家論であるのが、共感なり断罪に彩られた他の伝記とくらべて際立っている。
目次
1 一九五一年四月、わたしは『世界地理』を完成していた
2 『オプセルヴァトゥール』誌の雑誌評の駄文家ピエール・ルバールが
3 ガリマールにはもう愛想がつきた
4 サルトルは「トルコ篇」をちっとも読んでいなかった
5 さあ、一九五二年四月になったぞ
6 机上には『フランス週報』創刊準備号がある
7 女博士は私に『秘話』を手渡した
ドリュ(自殺;協力者;女たちに覆われた男;語彙集;政治思想)