内容説明
活版印刷術の登場によって革命的な変化をこうむった『読書』の問題を、菅原孝標女、ドン・キホーテ、サルトル、バルトという四人の「典型的」読者の考察、そして「作者」の誕生とその死の問題の考察を通じて、電子出版の未来をも射程に入れ、徹底的、根源的に問いつめる、最も今日的な読書/書物論。
目次
序章 ことば、文字、印刷
第1章 孝標女の読書
第2章 ドン・キホーテの読書
第3章 ロカンタンの読書
第4章 R.B.の読書あるいは『華氏四五一度』の読書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nrk_baby
4
バルト以後2013/10/18
フィ
1
東大2007年文理共通。実際の出題は「序章 ことば、文字、印刷」から。出題部分の文章は読みやすい方だった…が、以降の章は抽象的な記述がほぼ全体を占め、現代思想への理解も必要で、初見では分かりにくく、何度も立ち止まり読む必要があった。全290ページ。読み通すのは自分には辛抱のいるものだった。内容は興味深かった(分かりやすく要約するのも良し)。このレベルの本を、常時読んでおくと、実際の入試の場では、困惑せず冷静に対処できそうだとも思った。2016/09/03
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1
サルトルの現象学とバルトの記号論をふまえた観点からの, 前近代ー近代ー現代にかけての読書のあり方の, 「印刷文学」と「ことばの文学」の対立のなかでの考察. 読みやすく, またおもしろい. 2013/12/09
rien
1
著者自身が「あとがき」で述べているように「異なった主材をもつ四つの断片(短編)といった」感じで、菅原孝標女、ドン・キホーテ、サルトル、バルトを扱った読書論・書物論。もちろん、それぞれの断片が大きな時代的流れを描き出し、得るところ多し。孝標女による『源氏』読書を出発点に「自由な」・「気ままな」解読を試みる第1章が秀逸。2012/03/29