内容説明
人はなぜ、異郷に魅きつけられ、それを文学とするのか。モロッコ生れの異邦的作家・思想家が、ジュネ、バルト、デュラス、アラゴン、セガレン、オリエ等、自国を脱し、異郷の地で思索と創作を重ねた文学者の作品を、「フランス文学における異邦人から、異邦人としてのフランス語文学へ」という「フランス」の根本的転倒を企図する視座から―「他者」「外部」「アイデンティティ」を問いつつ丹念に吟味、渉猟する、旅のテクストを旅する鮮烈な批評・エッセイ。
目次
フランス文学における異邦人
エグゾットの称揚
バルトの日本
愛する、と彼女はいう
愛する、とかれはいう
心的外傷の痕跡について
ジュネ最後の反逆
文学的ナショナリズムと文学的インターナショナリズム