内容説明
廃墟からの声。音楽の魔術的力へ。〈音楽〉もまたポストモダン時代に突入する今、〈音〉の創造に携わる者は一体何を問いかつ創り出そうとしているのか?〈音〉を取り巻く様々な〈ポリティックス〉をこそ問う5人の作曲家による、工房からの熱き前線報告。
目次
音楽のポスト・モダン
音楽と社会(クリスチャン・ウォルフ)
現代音楽の詩と思想(ルイジ・ノーノ)
東洋の声=道(ジャン・クロード・エロワ)
音楽における意味の欲望(ヴィンコ・グロボカール)
音楽の意味?(近藤譲)
プロフィール
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
横丁の隠居
0
90年代の初めに出た本だが、ノーノやグロボカールの言葉が読めるというのは貴重だ。そもそも現代音楽というものがわけのわからないものなので、それに対する言説もたいていわけがわからないのだが、この本は3割くらいはわかるところがある。特にエロワの話は具体的だし、近藤譲の作曲法の話もよくわかる。彼は聴衆の期待を裏切りながら、完全にランダムではなくあいまいな形式感を残しながら作曲するという。私は、裏切りももちろんありだが、明確な意図を持って曲を一貫したものにしたいと考えている。貴重かつ興味深い一冊。2015/11/22