内容説明
古代エジプト文明は死んだ。だが、エジプトの霊は生きている。《神智学協会の最高の作家のひとり》と称される英国の小説家が古代エジプトの神殿と都市を舞台にひとりの小年の霊的な覚醒と成長秘儀と闘争の中での転生を描いた驚くべき神秘小説が本書である。
感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
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イメージとシンボルに溢れた神秘的な小説。一つ一つの象徴を読み解くのは難しいが、プロットは分かりやすい。無垢な少年が真理を求めて、神殿を訪れたのにそこに住んでいる邪悪な司祭に利用されて、堕落してしまう。そして―――。悪の力の描き方に鬼気迫るものがあり、人の心の奥にある悪の淵を覗き込むようなところがある。キリスト教でいうルシファーが女性の形で主人公を誘惑する場面は、禍々しくも美しい。体中が黒蛇に覆われた女神は、美に仕えるように主人公を唆すのだ。耐え難い苦しみを通して、主人公が霊的に覚醒する姿に心を打たれた。2016/02/28