内容説明
異朝に仕えることなく、激動の明末清初を生きた顧炎武。彼の学問と生涯を通して、17世紀中国の真実をさぐる。
目次
1 史を学ぶ
2 書院の活動
3 復社の日々
4 古学の復興
5 経世の学
6 暗転
7 秋雨
8 大清の天下
9 通儒の学
10 春雨
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
10
清代考証学の祖・顧炎武の評伝であるが、力点が置かれるのが「明末という時代」である。朱子学に抗い、道徳と実学を切り離した新しい学問のあり方が生まれかけた明末清初という時代、多くの知識人は「新しい時代に向かおうとしながら、途中で歩みを止め、部分的には過去へと引き返し」(p.232)、顧炎武はそうした「時代の子」であったと評する。「明末は近代を生まなかった」としながら、明末という時代のポテンシャルに着目した非常に興味深い本。2020/03/10
マンデリン
1
顧炎武を切り口とした17世紀中国江南の思潮・社会の状況の概説書として興味深く読めました。若い頃の経験や価値観を後年になって否定するも実はそこから本当の意味で自由にはなれなかった知識人、という不格好な彼の人物像には親近感を覚えてしまいます笑。読了後、もっと様々に儒教の歴史について学びたい(たとえば顧炎武らと康有為らの間の時代の中国の思潮と社会)という気持ちにさせてくれました。2020/01/12
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