出版社内容情報
あなたは知っていますか?
60数年前、常夏の楽園であった太平洋の島々で起こったことを・・・
戦禍をくぐりぬけた90名の人たちが、家族・子ども・人間そして太平洋戦争を語る。
はじめに 4
第一章 究極の戦場「沖縄」
1 運玉森の死闘 6
2 慶良間の惨劇 渡嘉敷島の集団自決 15
3 東風平分院と白梅学徒 20
4 与座岳と馬乗り攻撃 27
5 クラガーと真栄平 31
6 新垣と真壁集落 37
7 ヒージャークワックワッシガマ 42
8 ギーザバンダ 49
9 轟きの壕 54
10 白梅学徒とひめゆり学徒の末路 57
11 一〇月一日 62
第二章 真珠湾からガダルカナルへ
1 真珠湾とマレーシンガポール作戦 70
2 ミッドウェー 81
3 ミッドウェーからガダルカナルへ 91
4 ガダルカナル島上陸 96
5 アリゲータークリーク 100
6 第二梯団とムカデ高地 106
7 死のアウステン山迂回 113
8 第二師団と丸山道 119
9 鬼怒川丸と第三次ソロモン海戦 125
10 エスペランス岬 133
11 取り残された兵たち 141
12 現在のガダルカナル島 146
13 墓場の島ブーゲンビル 149
14 ニューギニアの戦い 152
第三章 玉砕列島 中部太平洋の戦い
マーシャル諸島
1 クウェゼリン島にて 162
2 水爆の島エニウェトクとマーシャル諸島 165
ミクロネシア連邦
1 見捨てられた島クサイエ 169
2 コスラエの生活 174
3 ウツワ湾 181
4 メレヨン島の惨劇 186
マリアナ諸島
1 爆風の島サイパン 190
2 歩兵第八九連隊の死闘 197
3 黒木大隊の奮闘 203
4 サイパンからの疎開船箱崎丸 209
5 マッピ岬 218
6 サイパンの末路 225
7 ジャングルの第八九連隊 231
8 グアム島の玉砕 239
9 横井庄一の二八年間 247
10 テニアン島の玉砕 252
11 原爆の島テニアン 257
12 ロタ島の場合 263
第四章 殺戮のフィリピン諸島
1 バターン 死の行進 270
2 日本の支配 アメリカの支配 274
3 なぜレイテ島が マッカーサーとタクロバン 277
4 リモン峠と第一師団 283
5 カンギポット山 289
6 ビリヤバと第六八旅団 291
7 セブ島へ 298
8 ルソン島決戦とマニラ市街戦 302
9 ルソン島北部へ 308
10 戦艦武蔵とルソン島最終戦 311
11 ミンダナオ島では 321
あとがき
戦場に架ける橋 タイ 326
旭川にて 329
証 言 者 330
この作品に関わる主な取材訪問地 333
太平洋戦争 関係年表 334
主な参考文献 340
写真協力 342
はじめに
太平洋の島々は、常夏の楽園である。
青い海と空が、いつも私達の心と体を包んでくれる。
しかし、そこは同時に日本から送られた「兵士」の「墓場」でもある。一〇〇万人を超える兵士が、そして戦火に巻き込まれた民間人が眠っている。
戦後六〇年を経た現在、多くの日本人がこの「南の楽園の島」に観光目的で訪問している。
沖縄・サイパン・テニアン・グアム・マーシャル諸島・ミクロネシアの島々、そしてニューギニアやソロモン諸島・フィリピンの島々。
数え切れないほどの島々が、戦場となった。
兵士だけでなく、日本の民間人そして現地の住民が巻き込まれた戦場もある。
サイパン・テニアン、そして沖縄の島々がそれである。
いつの時代も、戦禍の最大の犠牲者は私達「庶民」である。
あの愚かな戦争で斃れた人々の無念さを、「歴史」の中に埋もれさせてはならない。その思いを込めて、この書を戦後六〇年の「現代」に捧げる。