内容説明
安倍晋三政権において平和安保法制が整備され、制度改革も断行されたが、平時やグレーゾーンにおける法的不備や自衛隊のROE(行動規定)については議論なきままである。自衛隊は防衛出動が下令されない限り敵の蹂躙が明確であっても動くことはできない。四十数年前に栗栖統幕議長が指摘した問題点は今も解決されないままなのである。本書は、戦後の日本でほとんど論じられてこなかった「政軍関係」について、元統合幕僚長、元防衛事務次官、研究者、国会議員ら有識者が徹底的に議論した成果である。
目次
第1章 天皇と自衛隊―元首としての「天皇」と国防軍としての「自衛隊」(講師:田久保忠衛)
第2章 最高指揮官を補佐する制度と役割―総理大臣と統合幕僚長との関係(講師:河野克俊)
第3章 「文民統制」の仕組みと改善点―防衛省勤務の経験からみたわが国の政軍関係(講師:黒江哲郎)
第4章 成熟した民主主義国家における政軍関係―信頼感と緊張感のはざまで(講師:浜谷英博)
第5章 軍事力行使をめぐる米国の政軍関係―揺れ動く文民統制(講師:菊地茂雄)
第6章 「栗栖事件」再考―日本的「政軍関係」の原点(講師:堀茂)
補遺(1)「防衛法制に関わる制度的、運用的な課題と問題点」(講師:田村重信)
補遺(2)「ハイブリッド戦争時代における政軍関係の変容」(講師:守井浩司)
著者等紹介
田久保忠衛[タクボタダエ]
1933年(昭和8年)生まれ。早稲田大学法学部卒。時事通信社入社、ワシントン支局長、外信部長、編集局次長などを歴任。杏林大学社会科学部教授(国際関係論、国際政治学)、社会科学部長、大学院国際協力研究科長などを経て、名誉教授。法学博士。国家基本問題研究所副理事長。日本会議会長。正論大賞、文藝春秋読者賞を受賞。産経新聞社の「国民の憲法」起草委員会委員長を務めた
堀茂[ホリシゲル]
1956年(昭和31年)東京都生まれ。立教大学経済学部卒、杏林大学大学院国際協力研究科博士課程修了。専門は、政治外交史、軍事史、政軍関係、政治思想。現在は国家基本問題研究所客員研究員、日本経綸機構代表理事代行を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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