内容説明
2014年のウクライナ危機以降、尖閣周辺での中国の挑発行動や台湾有事の可能性を抱える日本でも、ハイブリッド戦争への関心が急速に高まっている。ハイブリッド戦争とは、国家主体があらゆる手段を駆使して、正規軍による武力行使未満の行動をとることで他国に危害を与える事態を指し、そのターゲットは民主主義だ。国際政治学の視点に立つハイブリッド戦争の研究が、米中露の大国間競争下の生き残りをかけた日本に求められている。ハイブリッド戦争の概念の変遷から、ユーラシアの東西における数多くの事例を紹介し、日本外交・安全保障への提言を盛り込んだ新進気鋭の研究者による意欲作!
目次
序章 ハイブリッド戦争時代の到来
第1章 ハイブリッド戦争の理論
第2章 ロシアのクリミア併合作戦(二〇一四年)
第3章 中東欧のハイブリッド戦争(二〇一六~二〇年)
第4章 米中衝突とハイブリッド戦争(二〇一〇~二〇年)
終章 ハイブリッド戦争という難題
著者等紹介
志田淳二郎[シダジュンジロウ]
名桜大学(沖縄県)国際学群准教授。1991年茨城県日立市生まれ。中央ヨーロッパ大学(ハンガリー)政治学部修士課程修了、中央大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。中央大学法学部助教、笹川平和財団米国(ワシントンDC)客員準研究員などを経て現職。専門は、米国外交史、国際政治学、安全保障論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
17
ハイブリッド戦争の概念と一例、各国の対応がわかります。更に進んでいる状態なのでしょうが、概要をまず押さえるにはいい本だと感じました。日本の針路についてもなるほどなあと感じました。2024/04/26
蟹
1
ハイブリッド戦争を普遍的な概念として位置付けるという試みは面白い。バズワードなので、評価が定まるまでにはまだ時間がかかるだろうが、著者はかなり幅広い捉え方をしている。欧州の中でも東・中欧に注目すべきというのも、日本からは(ハイブリッド戦争の視点は別として)見落とされがちではある。ただ、現在進行中の問題ゆえにやや先行研究や事例紹介にとどまっている印象も受けた。2021/06/06