内容説明
戦争は悪である。誰もが平和を願う。だがそれにもかかわらず、戦争や軍事には人を魅了するものがある。なぜ人間は「戦い」に惹きつけられるのか?なぜ人は「兵器」に興味を抱くのか?戦争は「純然たる悪意」のみの産物ではない。むしろ、愛や、希望や、真心や、正義感があるからこそ、人は命をかけて戦うことができ、戦争を正当化できてしまう…。本当に平和について議論をするのならば、軍事は「文化」であり、戦争は「人間的な営み」であることを、まずは素直に認めなければならない―人間の矛盾と限界を見つめ抜く、挑発的な戦争論。
目次
序章 戦争は人間的な営みである
第1章 戦争のなかの矛盾、戦慄、魅惑
第2章 愛と希望が戦争を支えている
第3章 兵器という魅力的な道具
第4章 軍人もまた人間である
第5章 「憲法九条」も戦争文化の一部である
第6章 人間を問うものとしての「戦略」
第7章 その暴力は平和の手段かもしれない
第8章 平和とは俗の極みである
著者等紹介
石川明人[イシカワアキト]
昭和49年、東京生まれ。北海道大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、北海道大学助教。宗教学・戦争論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かおりんご
33
読み友さんの感想に触発されて借りました。表現の仕方はあれだけど、言いたいことはよく分かりました。自衛隊や米軍に興味があるからといって、私は決して戦争を望んでいるわけではないです。だけど、世の中には、未だに自衛官に対してよくないイメージをもつ人もいるわけで。ゲリラも、時代や視点によっては、正義になりうるというのも、なるほどなぁと思わされました。誰しも傷つきたくないのは一緒だし、でも、人が生きていく上で、利害問題や生命の危機に追い込まれると、戦わざるを得ない生き物であることは事実で。戦争を美化するわけではあり2016/09/30
ひろし
27
アルピニスト・野口健氏の推薦の通り、戦争について考えるきっかけが詰まっていました。この本は戦争肯定の本では勿論ない。戦略や軍事を学ぶことは端的に『教養 』であり、これまで人間が経験し、今現在も世界で起きていることを理解する為の知識である。何故、これらについて無知であることが許されるだろうか。と 説く。戦争と言えばまだまだ感情や道徳のような意見が幅をきかすこの日本で、少しでも過去を知り、現在と未来を見据えた冷静な議論が活発になることを願ってこの本を書かれた著者に感謝します。お薦めの1冊。2015/12/23
Humbaba
16
経済性だけを考えれば,戦争など圧倒的に無駄でしか無い.非常にハイリスクであり,その割にリターンは小さい.それでも今でも戦争が行われているということは,その他に目的があるからである.それは名誉,宗教,復讐といったものが複雑に絡み合っているためであろう.2013/04/07
スー
9
平和を尊い物と崇め追い求めるほど、其を汚す者や壊す者を排除しようとして結局暴力に走り戦争になる。戦争は攻撃より防御が原因で起こる。それとアメリカで有った中絶反対テロ。これは胎児を守る為に病院に爆弾を仕掛け医師を殺そうとした。命を守る為に命を奪う事をおかしいと考えていない、むしろ正しい行為だと信じている。戦争を無くすにはどうしたらいいのか?平和を唱えればいいのか?軍隊を捨て武器を捨てれば無くなるのか?暴力は無くせない武器が無くても拳1つ有れば殴れる。自分と他者を知り受け入れる事が出来れば減らす事が出来るかも2016/07/05
海星梨
7
クリスチャン系宗教学者が戦争を考える一冊。戦争や武器に惹かれるよね、そこは認めた上で、戦争に反対するために戦争を深く考えよう、研究しようという。結構同意できる部分が多かった。戦争と言ってイメージする第二次大戦のような戦争はもう起きないだろう、新しい戦争に備えようとか、『いいね戦争』だー!みたいな。批判するべきものを正しく見据えようていう姿勢は大事だよね。『ノモンハンの夏』で、日露戦争で日本兵がひよったから、勇敢に戦ったと史実には残して教えた結果とか読んだけど、これもそうよ。2021/10/21




